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川内村をワインの里へ ブドウ栽培本格化

ブドウの苗木を植えるボランティア。ワインの里づくりに向け、栽培が始まった=4月22日、福島県川内村

 東京電力福島第1原発の半径20キロ圏に一部が含まれる福島県川内村で、官民による「ワインの里」づくりが始動した。2020年の初出荷を目指し、ブドウ畑を一望できる高原に醸造所を開設する計画。ブドウ栽培が今春、本格的に始まった。

 標高約750メートル。南向きの斜面に広がる約3ヘクタールの畑に、陽光が降り注ぐ。4月の週末、県内外からボランティアが駆け付けた。1カ月間で延べ450人がブドウの苗木計7800本を植えた。

 東京都の編集者伊藤高さん(47)は「どんよりした空気が希望に変わる取り組み」とブドウ畑の未来に心を躍らせる。徳島市から訪れた短大2年川端千尋さん(21)は「飲むのが楽しみ。また来たい」と笑顔を見せた。
 現在の事業主体は「かわうちワイン推進協議会」。村が今年2月、商工会などと設けた。シャルドネやメルロー、カベルネ・ソーヴィニヨンなど計2万本を植栽。19年に収穫・醸造して翌20年にワインを売り出す方針だ。

 始まりは14年。東電福島復興本社に赴任した北村秀哉さん(55)が「自分なりに復興に貢献したい」と構想した。山梨県のワイナリーや福島大などと計画を進め、翌15年に一般社団法人「日本葡萄酒(ぶどうしゅ)革新協会」を設立した。協会は現在、協議会の事務局を担う。

 畑は村が所有する元牧草地で、酪農家遠藤公明(ただあき)さん(68)が村から借りていた。村内は原発事故後に緊急時避難準備区域となり、遠藤さんは原乳と乳牛を全て処分する苦しみを味わった。酪農再開を断念したが、ワインの里の構想を聞いてブドウ畑への転用を受け入れ、事業主体となった協議会の会長に就いた。

 村内にあった避難区域は昨年6月までに全て解消された。地域の再生・復興、活性化が大きな課題だ。
 ワインの里の実現に半信半疑の村民もいるが、遠藤さんは「畑が形になれば関心は高まるはず。前向きにならなければ村は変わらない」と力を込める。
 苗木は昨年、先行する形で2000本を植えた。今秋には収穫したブドウで試験醸造する予定。将来は近くに宿泊施設を建てることも検討されている。
 協会理事の高木亨さん(58)は「一望できるワイン畑は日本中を探してもない。多くの人が村の豊かな自然を楽しめる場所にしたい」と夢を描く。


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2017年05月06日土曜日


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