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<東京五輪>食の安全認証 東北も強化不足

 2020年東京五輪・パラリンピックでの食材供給に向けて、政府・与党は食品の安全性などを担保するGAP認証の取得を生産者に促そうと躍起になっている。大会を機に和食文化を普及させ、国産食材の輸出拡大を狙うが、東北での取得件数は65件にとどまる。産地に認証取得のメリットが伝わっていないほか、高額な取得費用が障壁になっている。

 大会組織委員会は3月下旬、選手らに提供する農畜産物など食材の調達基準「持続可能性に配慮した調達コード」を決定。農産物に関しては食材の安全性や周辺環境、労働環境への配慮がなされていることを証明するため「グローバルGAP」「JGAP」などの認証取得を求めた。

<基本戦略練る>
 ロンドン大会では選手や競技団体、メディア関係者に約1500万食が提供された。組織委は来年2月をめどに、東京大会で出すメニューや量を盛り込んだ飲食提供基本戦略を決める。
 認証取得の旗振り役を務める小泉進次郎自民党農林部会長は、全国農業協同組合中央会(全中)が3月下旬に東京で開いた勉強会で「市場からどの認証を求められても当たり前に対応できる生産現場をつくるのが最終目標」と強調。1月に視察した五所川原農林高(五所川原市)の生徒が「グローバル」を取得した先見性をたたえた。

<全国1%切る>
 ただ、「グローバル」「J」の取得件数は全国約4500で、販売農家133万戸の1%に満たない。東北の県別の件数は表の通り。同様に、全24万戸に対する取得率は1%を切る。この現状に小泉氏は「高校生にできて農協組合員にできないことはない」とハッパを掛けた。
 農家が取得に二の足を踏むのは、高額な審査費用が毎年必要になるからだ。「グローバル」で25万〜55万円、「J」は10万〜15万円かかる。
 政府は16年度補正予算で関連予算3億5000万円を確保。初回の審査費用は上限を設けて補助し、農場管理状況を記録するタブレット端末専用ソフト導入費用も助成する。
 青森県の担当者は取得が進まない背景を「取引先からの要請がなく、必要性を感じなかった」と説明。宮城県の担当者は「五輪までの取り組みではなく、将来的に経営力を高めるツールに活用してほしい」と認証がレガシー(遺産)になることを期待する。

[GAP]Good Agricultural Practiceの略。食品、環境、労働の持続可能性を確保するための生産工程管理の取り組み。「グローバルGAP」などの認証は、第三者機関の審査でGAPの適切な実施が確認された証明。認証取得で取引上選択されやすくなり、消費者の安心にもつながる。


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2017年05月07日日曜日


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