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<石炭火力>東北に集中 半数が首都圏向け

試験稼働が6月に迫る仙台パワーステーション(写真手前)=仙台市宮城野区の仙台港

 東京電力福島第1原発事故後、ベースロード電源に位置付けられた石炭火力の発電所建設計画が東北で相次いでいる。岩手、宮城、秋田、福島4県で14基の計画があり、地域別では全国最多。このうち7基が首都圏に電力を供給する。2016年の電力小売り全面自由化を背景に、首都圏へ送電しやすく、建設コストの低い東北に集中した。
 世界的な地球温暖化防止の流れに逆行しており、住民からは大気汚染を懸念する声が上がっている。
 事業者が進める環境影響評価(アセスメント)手続きなどを基にまとめた計画・建設中の石炭火発は表の通り。木質バイオマスの混焼や非常時に限り石炭を使う施設を含む。
 県別の内訳は福島6基、秋田4基、宮城3基、岩手1基。地域別では関東の9基を上回る。合計出力は約400万キロワットで、原発4基分に相当。既に5基が着工し、10月〜20年9月の稼働を予定する。
 事業主体は電力大手に加え、全面自由化を追い風に日本製紙やオリックスなど新規参入事業者が目立つ。
 東北に計画が集中する背景には、国内電力需要の3分の1を占める首都圏の巨大市場の存在がある。
 首都圏は原発による供給が当面ない。周波数の違う西日本からの大量送電が困難なのに対し、周波数が同じ東北は用地が豊富で土地代も安い。安価な石炭を使って売電すれば、東電との価格競争で優位に立てるとの判断があるとみられる。
 関西電力系が仙台港に建設中の「仙台パワーステーション(PS)」(出力11万2000キロワット)は全電力を首都圏に供給する。6月に試験稼働に入り、10月に運転を始める。近隣で計画される四国電力系の仙台高松発電所(同)も約7割を首都圏などに販売する。
 14基中、国のアセスメントの実施基準出力(11万2500キロワット)を下回る小規模火力は8基。うち7基は自治体の条例アセスの対象となったが、仙台PSは仙台市の条例制定前に稼働するため対象外だった。
 市民団体「仙台港の石炭火力発電所建設問題を考える会」共同代表の長谷川公一東北大大学院教授は「周囲4キロに23の学校がある。ばいじん排出による大気汚染で健康被害が出かねない」と計画撤回を訴える。
 計画を見直す動きもある。福島県内で石炭とバイオマスの混焼火力発電所(11万2000キロワット)を計画する事業者は、バイオマス100%に変更する方向で調整中。事業者は「二酸化炭素削減の流れがあり、石炭利用のままでは理解を得られない」と説明する。


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2017年05月11日木曜日


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