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<学校誌切り取り>深まる謎 宮城などで確認

写真が切り取られた宮城県図書館所蔵の記念誌(左)。右は被害がなかった同じ記念誌

 宮城県図書館(仙台市泉区)は12日、栗原、塩釜両市から寄贈され、館内に所蔵していた小学校記念誌2冊のページが切り取られる被害があったと発表した。
 卒業生の集合写真や作文集に添付された記念写真が、数ページずつ刃物のような物で切り取られた。同館は2冊を閲覧可能な資料室に展示していたが、切り取り被害を受け、記念誌494冊を申請がなければ閲覧できない閉架書庫に移した。
 石川俊樹資料奉仕部長は「全国で相次ぐ被害を受け、7日に始めた館内調査で被害を確認した」と説明し、「郷土の歴史を後世に伝える大切な資料であり、大変残念だ」と話した。
 同館は今後、利用者に注意を呼び掛け、見回りなどを強化する方針。県内の公立図書館にも被害の確認と、注意喚起を促す文書を通知するという。
 盛岡市立図書館でも所蔵する学校記念誌2冊の一部が引きちぎられていたことが12日、職員の点検で分かった。市立図書館によると、被害に遭ったのは市内の中学校と高校の創立周年記念誌。いずれも生徒の学校生活を写真で記録したページの一部が破れていた。

◎閲覧の自由、図書館は苦慮

 岩手、宮城両県の公立図書館でも確認された記念誌などの切り取り。東北では秋田県でも見つかり、被害は全国16県に拡大した。いったい誰が、何のために−。専門家は学校生活に不満を抱く人物や、模倣犯による可能性を指摘。図書館は公共物の図書を守ることと、閲覧の自由との間で対応に苦慮している。

<狙いは集合写真>
 「本が順番通りに並んでいない」。4月28日、岐阜県図書館の郷土資料コーナーを整理中に異変に気付いた司書が学校史を開くと、10冊計134ページが切り取られていた。
 3日後には岐阜市立中央図書館でも被害が判明。その後東海や北陸地方を中心に、東北や四国、九州地方でも発覚した。福井県立図書館では93冊786ページと被害が大きかった。
 主に生徒の集合写真や学校行事の様子を撮影した写真が狙われたのが特徴。刃物でページごと切り取られたり、一部が破られたりしていた。多くの図書館では貸し出しをせず、館内だけで閲覧する決まりだった。
 岐阜県図書館の司書渡辺基尚さんは「写真に載っている人は『気味が悪い』と感じるだろう。寄贈者にも申し訳ない」と憤る。器物損壊容疑で警察に被害届を出した図書館もある。
 図書を巡る事件は過去にも起きている。2014年には、東京都内の公立図書館などが所蔵する「アンネの日記」や関連本300冊以上が破られた。逮捕された男性は、日記はアンネが書いたものではないとの説を信じ「批判したかった」と供述したが、犯行時は心神喪失状態と判断され、不起訴処分になった。
 今回の事件の背景は何か。関西福祉科学大の相谷登教授(犯罪心理学)は「学校生活に良い思い出がなく、学校に恨みを持つ人は多くいる」と指摘。被害を報道で知った複数の模倣犯が出ている可能性を挙げる。学校史は関係者以外が閲覧する機会が少ないとし「罪の意識が生まれにくい。面白がって犯行に及ぶ人が増えたのだろう」とも推測した。

<館内カメラなし>
 「知る権利」に応える役割を担う図書館は、対策の難しさを口にする。来館の事実やどんな本を読むかの情報はプライバシーに関わり、図書館は利用者の秘密を守るのが原則だ。
 68冊が傷つけられた愛知県図書館は屋外には防犯カメラを設置しているが、館内にはない。現在は警備員の巡回を増やしたが、ある司書は「カメラでの監視は図書館にはなじまない。防犯と閲覧の自由のバランスをとる必要がある」と話す。
 2冊の被害があった富山県立図書館はカメラを一切設置しておらず、今後も設けない方針。被害時期の特定が難しく、被害届も出さなかった。
 沢村修副館長は「できるだけ多くの資料を提供するのが公共図書館の使命。監視されていると、市民は気持ちよく利用できない」と指摘。「マナーの啓発など、やれることから始めたい」と、5月10日から貸し出し時の伝票に「図書を大切に」と印字する対応を始めたという。


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2017年05月13日土曜日


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