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<井ケ田>「茶も農産物」産直で貢献

天井が高く開放的な物産館「アグリエの森」で商品を確かめる井ケ田社長(手前中央)。農産物直売所や喜久水庵の店舗が人気を集める=仙台市太白区の秋保ヴィレッジ

 仙台市の奥座敷、秋保温泉に通じる県道沿いに2014年、新たな観光スポットが誕生した。太白区茂庭の「秋保ヴィレッジ」。農産物直売所が入る物産館「アグリエの森」は連日、買い物客でにぎわう。
 運営するのは、茶小売り卸のお茶の井ケ田(青葉区)。宮城県内最大級の純木造建築で、来場者は年間約50万人。緑茶や菓子、農産物など400〜500商品を扱い、年約6億円を売り上げる。建物は同社や地元農家が出資する法人が所有し、委託販売する登録農家は約180軒に上る。
 同社の今野克二会長(64)が20年ほど前から構想を温めてきた。「茶も農産物」。田園地帯への思い入れがあった。
 付近一帯は中山間地。零細農家が多く、高齢化が著しい。ヴィレッジ開設には販路確保による農家の収入向上、農地荒廃の防止、観光地の景観保全の狙いがある。
 地元農作物の販売や農業体験の実施など地域活性化への貢献が認められ、本業を通じて地域貢献した中小企業を表彰する仙台市の第1回「仙台『四方よし』企業大賞」に選ばれた。
 同社のグループ企業、井ケ田製茶(仙台市青葉区)は1920(大正9)年11月創業。3年後に創業100年を迎える。
 のれんを守り続けるのは簡単なことではない。緑茶の消費量は低迷している。1人当たりの消費量のピークは75年ごろの1000グラム。2015年は約4割減の620グラムになった。
 井ケ田は「お茶」を軸に挑戦を続けてきた。93年に「食べるお茶」をコンセプトに抹茶ソフトクリームを発売。96年にはカフェの喜久水庵(あん)の1号店を仙台市内に開店させた。抹茶生クリームとあんを、餅で包んだ「喜久福」はお茶に合い、仙台土産の定番商品に成長した。
 井ケ田健一社長(35)は「大企業ではないので、われわれ中小企業は本業を通じた雇用や納税などでの社会貢献が基本となる」とCSR(企業の社会的責任)を位置付ける。
 次の100年に向け「秋保ヴィレッジが農家のためになり、景観を守る。観光に貢献し、にぎわいを創出する。今まで以上に、地域の方々から応援してもらえるような企業を目指す」と決意を語る。


2017年05月15日月曜日


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