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<秋田市>技磨き「ガラスの街」に 工房開設

7月のオープンを目指して建設が進むガラス工房

 秋田市は同市新屋表町に7月、市民がガラス工芸に親しむ体験型施設「秋田市新屋ガラス工房」を開設する。近くにある秋田公立美術大でガラス工芸を学ぶ学生が卒業後、市内で独立や起業するのを支援する狙いもある。市企画調整課の担当者は「工房を拠点にガラス作家を増やし、『ガラスの街』として活性化させたい」と意気込む。
 電気炉や溶解炉を備えた工房を中心に、若手作家の作品を展示するギャラリー、作家が制作した器を使うカフェ、技術講習や講座に使える多目的スペースなどを設ける。
 市内では、地元商工関係者らでつくる「あきたガラスフェスタ開催実行委員会」が、2005年から市民にガラス制作を体験してもらう講座を開催。延べ約4万人が参加した。工房は、市民の間に根付いてきたガラス文化を生かしてまちづくりを進める拠点となる。
 さらに、公立美大でガラス工芸を学んだ学生に市内に定着してもらう施設としての役割も担う。
 同大のガラスコースの卒業生は、前身の秋田公立美術工芸短大を含めると100人を超す。ガラスは陶芸や漆塗りなどに比べて作家として活動する卒業生が多いとされる一方、秋田県内には就職先や進学先がなく、市内に工房を構えるのは2人しかいない。
 市は、ガラス工芸作家として市内で独立する意欲がある人を非常勤嘱託職員として採用。工房を拠点に3〜5年かけて制作技術や展示、販売方法などを学び、独立に向けた準備をしてもらう。昨年度は公募で4人を採用し、今後も不定期で採用していく。
 秋田公立美術工芸短大OBで新屋ガラス工房で技術指導に当たるガラス作家熊谷峻さん(33)=秋田市=は「ガラス工芸作家として独立するには、吹きガラスの場合、設備費だけでも最低400万円はかかる。新屋ガラス工房のように資金をためながら技術を磨ける拠点は必要だ」と語る。
 市が主導したガラス工芸によるまちづくりの先例として、富山市がある。同市は1991年、全国初の公立の専門教育機関「富山ガラス造形研究所」、94年には「富山ガラス工房」を設立。現在は100人以上の作家が市内で活動する。
 新屋ガラス工房の運営に協力する秋田公立美大ものづくりデザイン専攻ガラス領域の小牟禮(こむれ)尊人教授(54)は「作家が独立するには、市民がガラス文化に親しみ、客になってもらうことも必要。工房はその第一歩にもなる」と期待する。

[秋田市新屋ガラス工房]新政酒造の工場跡地約6500平方メートルに、木造平屋の工房と駐車場を整備。総事業費は約12億5000万円。当面は市が運営し、将来は財団法人などによる指定管理に移行する。同市新屋地区の住民らが2013年、跡地の有効活用などを目指して市に提案し、市が14年度に計画を策定した。


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2017年05月15日月曜日


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