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かしまの一本松伐採へ 被災地のシンボル

一本松をなでる五賀会長。樹勢回復を試みたが完全に葉は落ち、樹皮も傷みが目立つ
2014年ごろの一本松。枝は緑に覆われていた(南相馬市かしま観光協会提供)

 東日本大震災の津波に耐えた南相馬市鹿島区の「かしまの一本松」が、今冬にも伐採される見通しとなった。枯死したとみられる上、周辺で復興工事が進められるため。地域のシンボルに位置付けられており、住民は伐採木を表札に加工することを検討している。

 一本松は高さ約25メートル。15メートルの津波に見舞われたが、流失を免れた。福島の観光キャンペーンのスポットに選ばれ、今も県内外からの訪問客が絶えない。
 地元住民らが2014年に「守る会」を設立して周辺環境を整備したり、樹勢回復に努めるなどしてきた。15年秋ごろから葉に変色が見られるようになり、最近は枝だけの状態となっていた。津波に加え、高潮や雨水の滞留が影響した可能性がある。
 一帯では福島県が防災林整備を計画中。県は今年2月、住民の共有地だった一本松周辺の用地を買収した。県相双農林事務所は「土盛りのため伐採は不可避。地元と協議した上で、11月ごろの作業を想定している」と説明する。
 地元集落は震災で70戸が流失、54人が犠牲となるなど壊滅的な被害を受けた。行政区も今春、解散した。守る会の五賀和雄会長(76)は「犠牲者の魂が戻る場所が一本松だと感じていた。仕方ないとはいえ、伐採は残念」と声を落とす。
 枯死に備え、鹿島区内と茨城県日立市で現在、一本松の枝や種から後継樹の苗木約10本が育てられている。土盛り終了後、防災林の一画に植える計画だ。
 守る会は伐採された松を引き取り、状態が良ければ製材して表札に加工する方向。五賀会長は「200年にわたって地域を見守ってくれた樹木。思い出の品として地元住民や支援者に配布したい」と話している。


2017年05月17日水曜日


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