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<難病患者と家族>社会で応援体制を

[こばやし・のぶあき]1980年、5歳の長男がウイルスで脳が破壊される難病を発症。83年、同じ病気の10家族で「青空の会」を結成。88年、脱サラして難病患者家族支援を本格化。98年、難病ネットを設立し、事務局長に就任。2013年から会長。横浜市在住。

 入院中の難病の三男(1)を殺そうとしたとして、殺人未遂容疑で昨年11月に逮捕された仙台市の母親(42)の裁判員裁判が18日、仙台地裁で始まる。認定NPO法人「難病のこども支援全国ネットワーク」(東京)の小林信秋会長(69)は「母親が一人で悩みを抱え込んでしまったのではないか」と指摘し、社会全体でサポート体制を構築する必要性を訴える。(聞き手は報道部・千葉淳一)

◎難病のこども支援全国ネットワーク会長 小林信秋さんに聞く

 −事件の受け止めは。

 「私は難病の長男を介護し、13歳で亡くした。健常でも難病でも子育てに変わりはない。成長の一つ一つに喜びがあり、一人一人がかけがえのない存在だということに気付いてほしかった」

 −背景にある原因は。

 「悩みを母親が一人で抱え込んでしまった可能性がある。家族や医療関係者が異変を察知し、早期に働き掛けていれば事態は違っていたかもしれない」

 −家族を孤立させないため、難病ネットはどう取り組んでいるのか。

 「親の会連絡会に60団体が参加し、研修や情報交換の場を設け、相互理解を図っている。認定遺伝カウンセラーなど専門家による電話相談や希少病患者をつなぐ友達紹介もしている。病気は違っても、同じ境遇の母親に悩みを打ち明けるピアカウンセリングにも力を入れている」
 
 −毎年、全国でサマーキャンプを開催し、家族や医療関係者らが交流を深めている。
 「東北では宮城県蔵王町で20年以上開催し、昨年から会場を一関市に移した。定員150人はすぐ埋まる。『友だちをつくろう』を合言葉に互いの悩みを語り合っているが、毎回、会話は尽きることがない。介護に追われる日常を離れ、リフレッシュする機会にもなっている」

 −地域や社会はどう関わればいいのか。

 「医療の進歩で多くの命を守ることができるようになり、難病や障害のある子どもは今後、さらに増えることが予想されている。一方で、幼稚園や学校などで受け入れが進まないなど社会や個々人の意識は進歩していない。社会全体の問題として捉えてほしい」
 「ボランティアで体を動かす、知恵を絞る、お金で支えるなど支援の方法は無限にある。自分には関係ないと目を背けず、社会の一員として子どもと家族を受け入れる応援団になってほしい」


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2017年05月17日水曜日


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