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<汚染廃>焼却方針に住民反応さまざま

シートで覆われた処理を待つ汚染牧草。一部はすき込みによる減容化実験に使われる=宮城県大崎市鳴子温泉
国の基準以下の汚染廃棄物の混焼が検討されているごみ焼却場「大崎広域中央クリーンセンター」=同市古川桜ノ目
焼却灰が搬入されている最終処分場「大崎広域大日向クリーンパーク」=同市三本木

 東京電力福島第1原発事故で生じた国の基準(1キログラム当たり8000ベクレル)以下の汚染廃棄物に対する宮城県大崎市の処理方針を巡り、地域によってさまざまな反応が出ている。宮城県北の周辺自治体が焼却に消極的な中で市は「焼却(混焼)処理がベースで、すき込みなどは補完的措置」(伊藤康志市長)との構えを取るからだ。廃棄物の保管地や焼却施設、最終処分場の周辺で声を拾った。(大崎総局・大場隆由、加美支局・佐藤理史)

◆保管地

 汚染廃棄物の保管量が多い鳴子地区。400ベクレル以下の汚染牧草を、土壌すき込みで減容化する実験を行うため4月に行われた住民説明会では、早期処理を求める声が相次いだ。
 実験は汚染牧草約5.5トンを対象に近く始まる。焼却処理に反対する市民団体は「汚染の拡散につながる」とすき込みにも反対する一方で、説明会に出た住民からは「処理方法にはこだわっていない。とにかく早期に片付けてほしいだけ」という声が上がる。
 市内にある国の基準以下の汚染廃棄物は古川、鳴子両地区を中心に6079トンあり、県内では加美町(7543トン)に次いで2番目に多い。
 伊藤市長は「市内の保管量は多い。スピードを持って処理するには焼却がベースになる」という姿勢を貫く。焼却先は、古川・桜ノ目地区などにある大崎地域広域行政事務組合(管理者・伊藤市長)のごみ焼却場になる。

◆焼却施設

 焼却場がある古川・桜ノ目地区では「不安で燃やしてほしくない」(子育て中の女性)という声の一方で、「どこかが処理しなければ無くならない。厳重な環境監視下で、協力することも必要ではないか」(60代の男性)との意見もある。
 桜ノ目地区の住民らでつくる協議会は今月、焼却場周辺での公園設置や道路整備などの振興策をまとめ、市と組合に提出。市は一部を予算化した。
 振興策の要請は現在地での新焼却場建設を念頭にしたもので、協議会は「振興策と汚染廃棄物の焼却処理の受け入れは切り離して考えている」とするが、こうした動きを「焼却処理受け入れのための条件」と勘ぐる人もいる。
 地元行政区の関係者は「振興策はこれまで何もされてこなかったから求めたもので、汚染廃棄物の問題とは別。汚染廃棄物焼却に不安がる住民もいて、すんなり受け入れられるとは思えない。住民の声をよく聞いてほしい」と市や組合の対応を注視する。

◆最終処分場

 焼却処理後の焼却灰が入る同組合の最終処分場がある三本木地区。焼却灰も基準以下になるよう汚染廃棄物を一般ごみに混ぜる量を調整するが、焼却灰受け入れに抵抗感を示す住民も少なくない。
 最終処分場近くに住む60代男性は「放射性物質濃度が高い焼却灰を長期間抱えることになる。浸出水が汚染されないか心配で焼却処理はやめてほしい」と憂う。


2017年05月22日月曜日


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