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<仙台中学生自殺>遺族の訴え届かず

保護者説明会が開かれた折立中。いじめと教諭の体罰が男子生徒を追い詰めていった=19日午後7時10分ごろ、仙台市青葉区

 仙台市青葉区の折立中2年の男子生徒(13)がいじめ被害を訴え、自ら命を絶って1カ月になる。悲痛な叫びはことごとく見逃され、教諭の体罰も放置されるなど学校側の対応は後手後手に回った。市内では2年7カ月で中学生3人がいじめ絡みで自殺する異常事態に…。悲劇の連鎖が止まらない。(いじめ自殺問題取材班)

◎終わらぬ連鎖(上)反故

<事態 楽観視>
 遺族は目に涙を浮かべ、言葉を振り絞ったという。
 「学校にも市教委にも不信感しかない。あなた方とはできれば会いたくない」
 仙台市教委は23日夜、男子生徒の自殺を受けて実施した全校生徒対象のアンケート結果を遺族に示した。
 「遺族が推薦する委員を入れてほしい」。遺族は、市教委が新設する第三者委員会の人選について要望したが、回答は「検討する」。
 同席した遺族関係者は「この期に及んで市教委の説明は一方的。遺族に寄り添う気があるのか」と疑問を投げ掛けた。
 4月26日午前、男子生徒は学校を抜け出し、自宅近くのマンションから飛び降り、亡くなった。
 昨年6月と11月の学校アンケートに男子生徒は「いじめられている」と回答。「無視される」「物を投げられる」などと具体的に訴えていた。
 学校側は同級生男子6人への聞き取りで「臭い」「ばか」といった男子生徒への悪口を確認した。だが、校長は4月29日の記者会見で「お互いに悪口を言い合う状態。トラブルはその都度解消した」と述べ、楽観視していたことをうかがわせた。

<逃げ場なく>
 今月19日には50代の教諭2人による男子生徒への体罰が発覚。自殺前日、男性教諭から頭を拳でたたかれ、この体罰が自殺を誘発した可能性が出ている。
 男子生徒は「先生が怖い」とおびえ、「(いじめを)先生に言っても、一方的に自分が悪者にされる」と周囲に打ち明けていた。
 言葉の暴力はおろか、身体的な暴力すら容認された教室内に、男子生徒の逃げ場はなかった。
 市内の中学校では2014年9月に泉区館中1年の男子生徒=当時(12)=が、16年2月に同区南中山中2年の男子生徒=同(14)=がいじめ絡みで自殺した。
 繰り返される悲劇を前に、いじめ根絶を必死に訴え続けてきた2組の遺族の約束は反故(ほご)にされ、怒りと不満は頂点に達した。
 「悲劇を繰り返さないと私に約束したじゃないか。息子が亡くなってから2年7カ月、市教委は何も反省していなかったのか」
 男子生徒の自殺から13日後の今月9日、真相究明を求める要望書を手にした館中の父親は、大越裕光教育長ら市教委幹部を前に声を荒らげた。
 市は16年度、館中の父親の訴えを受け、全中学校にいじめ対策専任教諭を配置し、24時間対応のいじめ相談専用電話を開設した。「再発防止に向け、さらなる手を打つ直前だった」。大越氏の釈明がむなしく響いた。

<自覚 絶望的>
 南中山中の父親は「再発防止には真相究明が必要だと何度も言ったはずだ。うわべだけの対策に意味はない」と怒りをぶつけた。
 全国自死遺族連絡会(仙台市)の田中幸子代表理事が市教委の一連の対応を痛烈に批判する。
 「同級生のいじめと教諭の体罰という二重の苦しみがなければ死ぬことはなかった。学校が見殺しにしたようなものだ。わずか13歳の命が失われたという自覚が、市教委には絶望的なまでに欠けている」


関連ページ: 宮城 社会 いじめ自殺

2017年05月26日金曜日


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