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<南極見聞録>1万4000km先へ年賀状

無線局のアンテナとオーロラ。奥の左側には2基の風力発電所、中心に丸いドーム状のアンテナがある建物は気象観測を行っている気象棟です(筆者撮影)
郵便局は電離層棟という建屋の中に観測機械に囲まれるようにしてあります。電離層は電波を反射する性質を持つため通信に利用されますが、オーロラの出現する領域でもあります(筆者撮影)

 第58次南極地域観測隊に仙台市太白区の外科医大江洋文さん(57)が参加している。過酷な環境の中で任務に励む日々。極地の「今」を伝える。

◎こちら越冬隊 Dr.大江(5)基地内に郵便局

 私は昨年11月の出発の前に、観測船しらせに年賀状用のはがきを積み込んでおきました。そして、航海中にメッセージを書き込んで昭和基地で郵便局長に手渡しました。

<隊員に局長委嘱>
 郵便局長は隊員が日本郵便から委嘱されることになっていて、切手やはがきの販売や押印が許可されています。基地には郵便局が開設されているのです。正式名称は「銀座郵便局昭和基地内分室」です。国内と同じ所定の額の切手を貼って局長に渡せば、ポストに投函(とうかん)したのと同じ扱いを受けます。
 これらは帰国の際に、国内に持ち帰られ、それぞれの宛先に配達されます。私の出した年賀状は、4月10日にしらせが帰還した数日後に、日本の知人たちに届きました。片道1万4000キロを往復して、昭和基地の消印を押された時季外れの便りは、大変喜ばれたようです。
 同様に、しらせの船内にも郵便局が開設されています。こちらに投函すると、しらせ独自の消印を押して届けてもらえます。

<日本へ通話可能>
 昭和基地からは、自由に電話をかけることができます。衛星回線を使ってはいますが、昭和基地は国立極地研究所(東京・立川市)の内線扱いになるので、プリペイドカードを使って立川−仙台間の通話料金を負担するだけで、仙台に電話をかけられます。
 以前は国内への連絡手段は無線や電報だけでした。電話が可能になっても、高額な衛星回線を使わなくてはならず、1年間の通信費は、とてもかさんだそうです。最近は通信手段も多様化していますが、さすがにテレビ電話などは、限られた回線に負担がかかるので、事前に担当隊員に時間枠を申請して予約しなくてはなりません。
 そのほかに、有志によるアマチュア無線局8J1RLが運用されています。なかなか交信が難しいため、世界中のアマチュア無線家に人気のある局です。
 テレビは見られるでしょうか? 一番近い国でも4000キロ以上離れているので、残念ながらテレビの電波は届きません。それでも国内外のニュースはインターネットを通じてリアルタイムで入手できますし、NHKの海外向け短波ラジオ放送も聞くことができます。こちらの現地時間は日本時間マイナス6時間です。電波の条件のいいときには、夕食後にNHKの深夜番組を聞いています。(第58次南極越冬隊員・医師 大江洋文)


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2017年05月27日土曜日


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