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<帰還困難区域>国道6号でGS再開

開店準備が大詰めを迎えたガソリンスタントと吉田知成さん=福島県双葉町長塚

 東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域となっている福島県双葉町の国道6号沿いで、老舗燃料会社「伊達屋」のガソリンスタンドが6月5日、営業を再開する。周辺の上下水道が復旧していない中、水洗式トイレを整備した。東京の会社を辞め、社長を継いだ吉田知成さん(41)は「店に明かりがつくことで町を活気づけたい」と話す。
 全町避難が続く双葉、大熊両町の6号沿いで一般車両が利用できるスタンドは、昨年再開した双葉町の1カ所のみ。廃炉や除染などの工事関係者らから「近くにもっとあれば作業が円滑に進む」といった声が上がっていた。
 伊達屋は昨年、環境省による敷地内の除染を終え、例外的に事業を認める国の許可を得た。とどまる時間が長い洗車や車両整備などは原則できず、給油のみ対応する。当面は平日の日中に営業し、重機などの燃料用に現場や事業所にも配送する。
 「再開は簡単ではなかった」と知成さん。店は東日本大震災の揺れで損壊し、時間の経過で劣化。敷地には放射線量が高い場所もあった。
 明治期創業の伊達屋はJR双葉駅前の店でたばこなどを販売。プロパンガスを扱い、6号沿いで給油所も営んだ。
 震災時は、社長だった現会長の父俊秀さん(69)が中心になり、発生当日から翌朝まで避難する車両に夜通しで給油。その後は運搬車3台に油を積んで避難しながら、避難所に灯油を届けた。
 古里を思う気持ちが強い俊秀さんだが、町側などから再開を打診されても「経営は震災前から厳しかった」と二の足を踏んだ。これに対して知成さんが「伊達屋をなくす訳にいかない。復興に貢献したい」と事業継承を決断した。
 国のグループ化補助金などで資金を確保し、地元の同世代の人脈を生かして設備を改修。放射線量も環境省が除染を徹底したことで一定以下に下がった。
 店の水洗式トイレは地下水と浄化槽を活用して整備した。町の復興の現状を知らせる冊子なども置き、情報発信にも一役買う予定だ。知成さんは「一時立ち入りなどで戻った住民がちょっとの間、ほっとできる場にしたい。通過する人たちにも双葉町の状況を知ってもらいたい」と話す。


2017年05月27日土曜日


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