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地引き網体験休業中 漁師引退、後継者選び難航

地引き網に挑戦する海外の高校生ら。人気が高く、多くの子どもたちが体験した=2012年9月

 宮城県気仙沼市の離島・大島で、団体客の人気を集めた「地引き網体験」が休業に追い込まれている。長年にわたり漁を手伝っていた地元漁師が、高齢を理由に昨年引退。実施主体の大島観光協会(白幡昇一会長)は後継者探しに躍起になっているが、島の漁師の高齢化は著しく、人選は難航する。

 協会によると引退したのは2人。いずれも80代の漁師で、地引き網体験を始めた当時から協力していた。体力面を心配する家族の反対や安全面を考慮し、昨秋の体験を最後に退いた。
 団体客を対象にした体験メニューは20年以上前に始まった。体験学習を目玉にした観光客の誘致を目指す協会の看板メニューとして、1回数万円の委託料を受けた漁師が取り仕切った。
 教育旅行で来島する県内の多くの小中学生が漁を体験。東日本大震災以降は復興支援の一環で訪れる県外の学校も増え、中には海外からの利用者もいた。
 2016年は約300人が利用。昨年、漁に挑戦した仙台市内の中学校の教頭は「力を合わせて魚を取り、その場で魚を食べられる経験は貴重だ。子どもたちも喜んでいたのだが…」と休止を残念がる。
 網は前日に仕掛ける。魚が入りやすくする工夫や破れた網を修理する技術も担当者には求められる。観光協会は「事業の継続を考えると、経験に加えて体力がある若い漁師に手伝ってほしい」と話すが、意中の漁師は見つからない。
 気仙沼市によると、2013年11月現在、大島の漁業就業者は273人。うち60歳以上は218人と約8割を占める。60歳以上の割合は10年前の03年から約30ポイント上がっており、後継者探しは難航を極めそうだ。
 観光協会の白幡会長は「魚を網で取った感動を、もう一度子どもたちに味わってほしい。(人選は)難しい作業だが、大島の観光振興のためにも、何とか再開させたい」と話している。


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2017年05月28日日曜日


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