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<里浜写景>悠久の時刻むシャンデリア

洞窟内はかなり狭い。中腰にならないと奥へ進めないほどだが、長さ50センチ前後の鍾乳石がぎっしり。東日本大震災の激しい揺れにも耐えて残った
悠久の時刻むシャンデリア

 ヘッドライトの光の先に連なっていたのは、神々しいばかりのシャンデリア。闇の中でやっと目覚めたかのように浮かび上がった。
 横穴石灰洞「龍神窟(りゅうじんくつ)」があるのは、宮城県気仙沼市魚町の五十鈴神社の北側。地元でも存在を知る人は少ない。昭和の初め、道路工事の際に偶然発見されたという。
 辺りは気仙沼湾に近い険しい崖だが、入り口が海とは反対側だったことが幸いして、東日本大震災の津波を免れた。天井から垂れ下がる鍾乳石や、下から伸びる石筍(せきじゅん)が洞窟の空間を満たしている。
 よく見ると、鍾乳石の先端に水の滴が付いている。「今も成長している証し。大切に、そっとしておかなければ」と五十鈴神社の神山正志宮司(67)。
 震災復興工事の音が絶えない気仙沼港。その傍らの洞窟の中に響くのは、ときたまの滴の音。悠久の時を刻みながら、自然の賜物(たまもの)を育んでいる。
文と写真 写真部・長南康一

[メモ]
 近辺の洞窟群を調査している東北大大学院理学研究科の山田努助教(50)によると、龍神窟の総延長は50メートルを超えるという。一般には公開されていない。鍾乳石は1年間でせいぜい1ミリ程度しか伸びず、数十センチまで成長するには途方もない年月がかかる。


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2017年05月28日日曜日


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