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脱「農村伝説」を!イノシシ被害正しい対策指南

誤ったイノシシ対策の認識を指摘する資料(農水省提供)
昨年6月、収穫前の麦畑に出没したイノシシ=宮城県大和町

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故に伴い東北でイノシシによる農作物被害が拡大する中、農林水産省は、誤った対策の風聞が農家の間で流布しているとし、正しい対策を促す「『農村伝説』からの脱却」と題した動画と資料を作った。同省は高齢化と過疎化が風聞を生む背景にあると分析。科学的な視点で誤りを指摘し、正確な知識の普及に乗り出した。
 同省ホームページ(HP)の鳥獣被害対策コーナーで4月上旬から公開している。要旨は表の通り。よくある「伝説」の一つは電気柵の侵入防止効果への疑念。誤りの事例として「ジャンプして逃げるので、柵は高い方がいい」などを挙げた。
 正しい対応として「電気柵の設置ミスの有無を確認すること」とポイントを示し、「イノシシは鼻で通電する。鼻を上下する高さと同じ20センチ間隔で電気柵を設置するのが効果的」と解説する。
 風聞がはびこる背景について、同省農林水産技術会議事務局の担当者は「農村部の高齢化と過疎化が進み、身近な人から正しい情報を得る機会のない農家が増えた」とみる。
 東北では狩猟者の減少や耕作放棄地の増加に加え、原発事故に伴う放射性物質汚染が影響。福島県内で食肉用のイノシシが捕獲できず、個体数が増加した。
 被害は福島県からイノシシ流入が増えた宮城県南部を中心に急増、同県北に拡大した。岩手、秋田両県でも目撃や捕獲が相次ぎ、震災前は宮城県南とされた生息域が北に広がっている。
 東北農政局によると、イノシシの農作物被害は2011年度、岩手、宮城、福島、山形4県で約8100万円。14年度には約2億3800万円に膨らんだ。福島県が駆除を始め、15年度は約1億6400万円に減少したが、同県環境保全農業課は「予断を許さない」と警戒する。
 農水省の担当者は「自治体や農協など関係団体に呼び掛け、効果的で正しい対策の普及に努めたい」と話している。


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2017年05月28日日曜日


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