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被災農地7年ぶり田植え アートで彩り

田んぼアートの完成を目指し、苗を植える西城さん

 東日本大震災で被災した宮城県南三陸町志津川の廻館地区で、7年ぶりに田植えが行われている。廻館営農組合の西城善昭組合長(64)は田んぼアートを企画し、28日は住民らと苗を植え付けた。農業の担い手が少なくなる中、被災した町に彩りを添え、コメへの関心を高めていく考えだ。

 田んぼアートは35アールの水田に赤米、黒米を使って町名物のタコを描く。西城さんは地元の子どもやボランティア約50人と手植えで汗を流し、「やっとここまで来てホッとした」と笑顔を見せた。
 水田の近くにある志津川高に通う3年の菅原藍香さん(17)も参加し、「高校の周りは復興工事ばかりで寂しい。田んぼができて震災前の風景が戻ったよう」と喜んだ。
 西城さんは2011年3月11日、農作業中に地震に見舞われ、逃げた高台で町防災対策庁舎が津波にのまれる惨事を目の当たりにした。建てたばかりの自宅や大切な田畑も失った。
 廻館地区の農地は当初、原形復旧の計画だった。次世代の農家のためにも、収益性の高い圃場整備事業の実施を町に要望。14年に認められ、16年度末までに11.5ヘクタールが引き渡された。
 震災前、廻館地区の農家は約60戸あった。被災による廃業や農地の集約に伴う貸借で、新たに組織した営農組合に名を連ねたのは3戸にとどまった。
 西城さんは「新しいことをやらなければ農業は衰退する」と危機感を募らせ、田んぼアートを企画した。人が集まって楽しめる場所にし、町の活性化につなげたいという。
 担い手不足に加え、コメ消費量の落ち込みや生産調整(減反)の廃止など不安要素はいくらでもある。それでも西城さんは「息子や孫に誇れる農業にするため、やれることをやる。まず若い人にコメを好きになってもらいたい」と語る。
 田んぼアートは7月には葉が色づき、見頃を迎える。営農組合は今年、7ヘクタールにひとめぼれや飼料用米を作付けする。


2017年05月29日月曜日


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