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<アングル宮城>陽光浴び山笑う

【萌芽】樹齢はまだ10年にも満たないブナやミズナラの林。少しずつ春を感じ、葉脈を広げていく=2017年4月20日

◎仙台・泉ヶ岳の四季 春編

 まだ弱々しいブナやミズナラの新芽が、5月の暖かな日差しをいっぱいに受けて輝いていた。仙台市の泉ケ岳(1172メートル)が冬ごもりから目覚める季節。
 水場の「水神」に向かう登山道を途中で外れ、沢沿いに30分。雑木林に響くのは、鳥のさえずりと沢のせせらぎ。若草の甘い香りが漂う。ウサギにかじられたのか、野イチゴの枝がすっぱりと切られていた。
 かつて泉ケ岳の中腹はブナやナラの原生林で覆われていたが、明治になって木炭生産や植林によって次々と伐採された。それでも先人は要所要所にブナなどを残す。少しずつだが、その種が芽吹いて原生林が回復しているという。
 「岳山(だけやま)と呼んでいた昔の人は、山が荒れないようにするにはどうすればいいのか、知恵を絞ったんでしょうね」と泉区朴沢で農業を営む熊谷喜利(きとし)さん(71)。名も無い昔のナチュラリストは、はるか未来を見据えていた。
 深夜。ブナの森から見上げた空には限りない星々。市街地では望むべくもないこの光景も、先人の貴重な遺産なのかもしれない。(写真部・及川圭一)


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2017年05月29日月曜日


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