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基金残高増で交付税減? 東北反発

 地方自治体の「貯金」に当たる基金の残高が全国的に増加傾向にある状況を背景に、政府内で地方交付税の減額を探る動きが出てきた。財政負担を軽減しようとする国の意図が見え隠れする中、東北各県や仙台市は「地方自治を損なう乱暴な話だ」と反発し、慎重な議論を求めている。

<積み増し図る>
 11日にあった政府の経済財政諮問会議で、民間議員から「潤沢な基金を持つ自治体に地方交付税を配るのは予算の無駄」との意見が上がった。高市早苗総務相は翌12日の会見で、全国の自治体を対象に基金の使途や設置理由を調査する考えを明らかにした。
 全国の自治体が保有する基金の総残高と東北6県、仙台市の状況はグラフの通り。総務省によると、2015年度末の全国累計額は05年度末に比べ10兆円超増えた。使途に自由度がある財政調整基金、使途が決まっている特定目的基金がともに伸びた。
 2000年代、各自治体は当時の小泉純一郎内閣による国と地方の「三位一体改革」で、地方交付税や補助金が減額される憂き目に遭った。基金の取り崩しを余儀なくされた各自治体は支出の切り詰めなど緊縮財政を進め、基金の回復と積み増しを図ってきた。

<「固有の財源」>
 各自治体は「財政運営に余裕がある訳ではない」と主張。基金を標的とする政府の議論を警戒する。
 村井嘉浩宮城県知事は15日の定例記者会見で「交付税はそもそも自治体固有の財源。基金増加を根拠に交付税を減らすのは全くけしからん話だ」と憤慨。青森県財政課も「基金が増えても地方それぞれの財政事情がある」と強調する。
 岩手、宮城、福島3県と仙台市の残高が大幅に増えた背景には、東日本大震災や東京電力福島第1原発事故からの復旧復興に充てる基金の創設がある。震災以外でも緊急雇用創出や介護基盤緊急整備など、国の政策を推進するため国費が原資の基金も少なくない。
 達増拓也岩手県知事は22日の定例記者会見で「基金イコール財政的な余裕、無駄遣いではない」と反論。福島県も「復興事業を進める必要があり、将来的な需要に備えている」と言う。
 一方、秋田、山形両県は10年前に比べ基金は減った。秋田県は「財政基盤は弱く、災害や金利上昇、国の制度変更に備えた基金は必要」と指摘する。吉村美栄子山形県知事も16日の記者会見で「財政は厳しい。17年度末残高は減る見込みだ」と危機感を示した。
 16日に仙台市であった東北市長会でも「あまりに軽薄な議論」(宮下宗一郎むつ市長)と交付税減額に反対する意見が噴出した。定例会見で奥山恵美子仙台市長は「甚だしく乱暴な議論だ」と疑問を呈し、諮問会議の出方を注視する考えを示した。


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2017年05月30日火曜日


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