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<CSRの陰>「貢献」掲げ一山狙う

新築された宮野森小(右上)と災害公営住宅(左上)、被災地で続く復興事業の工事現場のコラージュ

 東日本大震災と原発事故は、復興CSR(企業の社会的責任)の対極にある、企業の利己、欲望、保身といった負の姿をもあぶり出した。大災害で顕在化した共感なき振る舞い。それもまた、被災地の現実だった。(「被災地と企業」取材班)

◎トモノミクス 被災地と企業[43]第9部(4)うたがう/信用

 最大の争点は、企業の「信用」だった。
 2015年8月、東松島市議会は、新設する宮野森小建設工事の仮契約の承認を全会一致で否決した。
 議会が問題視したのは工期を守れるか否か。同校は宮戸小と、東日本大震災で校舎を失った野蒜小が統合して誕生する。野蒜小の保護者は「仮設校舎しか知らない6年生を3学期だけでも新校舎に通わせたい」と切に願っていた。
 市が議会に提出した仮契約の相手は、震災後に関西から宮城県に本社を移した建設会社。災害復旧工事を受注する一方、石巻市の複数の現場で工期の遅れが取り沙汰されていた。
 県が発注した同市の災害公営住宅の工事は、予定より半年遅れていた。同市に対し、県は「資材の手配がなかなか付かないようだ」と説明した。市幹部は「同時期に別の会社と契約した災害公営住宅は順調に進んだ」と首をかしげる。
 別の県発注工事では、中間検査で度々指導的な指摘を受けた。県職員は「工事規模の割に現場の社員が少なく、管理できていないように感じる」と明かす。
 宮野森小は別の建設会社が受注し16年12月に完成。6年生は新校舎で3学期を過ごし、卒業した。「どうしても不安が拭えなかった」。市議の佐藤富夫さん(76)は当時を振り返る。
 同社は31日までに、取材に応じていない。
 震災からの復興予算は約26兆円に上る。多くの企業が復興加速に尽力する中、グレーの震災ビジネスもまた、はびこった。
 例えば土地。津波で被災した自治体は住宅の高台移転などのため、膨大な建設土と土地を探していた。
 震災から約4カ月後、東松島市役所を京都市の建設会社社長と僧侶が訪れ、唐突に切り出した。
 「復興に協力したい。野蒜の山を手に入れたので、土を買ってほしい」
 この業者は、仙台市の不動産会社から既に土地を購入したと言った。東松島市の担当課長だった古山(ふるやま)守夫さん(60)=現副市長=は困惑した。移転先候補だった。さらに第三者の手に渡れば、取得は難しくなる。
 古山さんが急いで仙台市の不動産会社に確認すると、契約後に代金が支払われず解約したという。安堵(あんど)もつかの間「東京の会社と契約準備を進めている」と告げられた。震災前、ほとんど無価値だった土地を巡る奪い合いが起きていた。
 結局、土地は東松島市が取得し、新しい街に姿を変えた。古山さんはため息交じりに言う。「どの会社も復興に貢献したいと言ったが、山っ気を出し、被災地でひともうけしようとしていた。信じられなかった」
 心ない企業にとって、被災地は「ゴールドラッシュ」の地だった。CSR(企業の社会的責任)とは無縁の仁義なき利益競争は依然、経済社会に巣くう。


2017年06月01日木曜日


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