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<難病幼児殺害未遂>裁判長「一人で悩まないで」

 「一人で悩まないでください。立ち直る機会が与えられた意味を考えて」
 難病幼児殺人未遂事件で、母親(42)に執行猶予付きの判決を言い渡した仙台地裁の小池健治裁判長がこう語り掛けると、母親は「分かりました」と答え、大きくうなずいた。
 母親は10年前、当時4歳の次男を三男と同じ遺伝性の難病で亡くした。懸命の介護のかいもなく、母親が傍らで眠っている間に息を引き取った。三男が同じ難病を発症して以降、何度も自殺を考えたという。
 父親は三男の在宅介護を手伝おうと事件直前に仕事を辞めたが、「『死にたい』と妻が言っても、冗談だと本気にしなかった。妻の心をちゃんと見てあげられなかった」と証言台で何度も悔悟の念を口にした。
 母親の義兄は法廷で「事件前、(母親は)見ていられないほど痩せ細っていた」と振り返った。気晴らしの食事や旅行に誘ったが、事件は防げなかった。「遠慮がちな性格で、逆に負担だったのかもしれない」と打ち明けた。
 難病患者を支援する仙台市のNPO法人「宮城県患者・家族団体連絡協議会」の小関理・理事長は、メモを取りながら真剣な表情で判決を聞いていた。
 小関さんは取材に「難病に対する社会の理解は十分ではなく、周囲に打ち明けづらい空気がある。家族や本人だけに苦悩を抱え込ませず、社会全体で支える体制が必要だ」と訴えた。


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2017年06月01日木曜日


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