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「福島の花さかじいさん」発刊 花見山巡る物語

花見山を桃源郷にした阿部さん一家の物語をつづった著書を手にする森川さん

 福島市の観光名所「花見山公園」を巡る花卉(かき)農家3代の奮闘をつづった児童書「福島の花さかじいさん」が発刊された。著者の森川成美さん(60)=東京都=は「人の心を癒やすことに尽力した物語が公園にある」と強調。東京電力福島第1原発事故で被災した福島の子どもたちにとって「古里の誇りになる」と語る。
 著書は、私有地の花見山を「桃源郷」に育て、無料開放している阿部家の物語。山を切り開いた一郎さん(1919〜2013年)を中心に、昭和初期に花木栽培を始めた父伊勢治郎さん(1900〜82年)や、長男一夫さん(65)らの姿を紹介している。
 森川さんは夫の福島市転勤で、2002年に初めて花見公園を訪問。12年夏、亡くなる1年前の一郎さんにインタビューした。農民魂を持つ「農業人」との印象を強く抱いたという。
 著書には、出征先の中国の戦場で目にとまった花から「生きる力」をもらったこと、戦時下の福島市内で「きれいな花ですね」と女性から繰り返し言われたことなど、一郎さんの経験を記した。
 「見た目の美しさだけじゃない。『花は人の心を癒やして救う』という信念が阿部さん一家にはある。それが花見山の本当の魅力」と森川さん。入園料徴収の助言を一郎さんが固辞したエピソードにも「花の力を無欲に信じる花卉農家の誇りを感じた」と話す。
 「(東日本大震災など)災害があったとしても、花は花なりにさくんです」。著書は最後の「おわりに」で、一郎さんの言葉を紹介している。
 森川さんは「素晴らしい場所がある地元を誇りに持ってほしい」と、福島の子どもたちにエールを送るとともに、「本を読んだ各地の子どもたちが『福島に行ってみたい』と思ってほしい」と原発事故の風評払拭(ふっしょく)につながることを願う。
 A5判、127ページ。印税の一部は地元の花見山観光振興協議会を通じ、公園の周辺環境整備に充てられる。税込み1620円。連絡先は佼成出版03(5385)2323。


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2017年06月01日木曜日


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