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<クロマグロ規制>東北の定置網漁 翻弄

定置網の引き揚げ作業=大船渡市三陸町越喜来沖

 東北の定置網漁業者が、太平洋クロマグロ小型魚の資源管理に翻弄(ほんろう)されている。漁獲量の規制が強化される中、従来の漁法は混獲が避けられないからだ。資源保護を優先して休漁すれば、主力魚種も捕れなくなる。来年の罰則導入を前に沿岸漁業の試行錯誤が続く。(大船渡支局・坂井直人)
 5月20日朝、越喜来漁協(大船渡市三陸町)の定置網で「網起こし」があった。海面に浮かんできたクロマグロの群れが盛大に水しぶきを上げる。
 だが、漁師たちに笑顔はない。前日、岩手県に割り振られた定置網による小型魚の漁獲量は上限目安(68.4トン)の9割を突破。管理計画に基づいて県は、漁業者に小型魚を全量逃がすよう要請していた。
 漁師たちは目測で30キロ以上と分かるマグロ1本とサバやタイの一部を引き上げると、網を海中に沈めた。小型マグロはほかの魚と一緒に網の外へ逃げていく。リーダーの畑中隆一郎さん(54)は「国の定めだから仕方がない」とこぼした。
 全国の定置網漁で漁獲する太平洋クロマグロは全漁法の数%にすぎない。ただ、小型マグロ漁獲の一定量を占めることから、国は管理の徹底を求めている。
 昨年7月〜今年6月の漁期は西日本の定置網漁で小型マグロが豊漁となり、全国で共同管理する漁獲量は上限目安を早々に超えた。各県の上限も秋田は昨年8月、宮城は今年5月17日に超過しており、来年分から差し引かれる見通しだ。
 操業自粛に強制力はないが、来年からは罰則を伴う法規制が導入される。岩手県は秋サケの漁期に操業できなくなる事態を避けるため、マグロ漁が盛期となる6月を中心に、輪番で約10日間の自主休漁に入る。
 一方、主力のサバ漁と漁期が重なる宮城県は「魚市場や業者への影響が大きい。どこまでできるか議論が必要だ」(水産業基盤整備課)と休漁には慎重だ。
 操業を続けながら小型マグロだけを逃がそうにも、タモですくうと死んでしまったり、ほかの魚種と選別している間に死んだりと、現場の取り組みは手探りの状態。
 岩手大農学部の後藤友明准教授(漁業資源)は「規制の動きが急過ぎて、漁業者は効果的な技術を確立できないまま責任だけを負わされている」と指摘する。


[太平洋クロマグロ小型魚の資源管理] 小型マグロ(30キロ未満)の年間漁獲量を2002〜04年平均から半減させる国際合意。水産庁は国内漁獲可能量4007トンのうち定置網漁など沿岸漁業の漁獲上限を2007トンに設定。都道府県が管理計画を作成している。


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2017年06月01日木曜日


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