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<則本新記録>「田中さんの呪縛から解放された」

8回2死、阿部を空振り三振に仕留め、拳を突き上げる東北楽天先発・則本(伊深剛撮影)

 則本はこの3年、大リーグへと巣立った絶対的エース田中(ヤンキース)の後ろ姿を追い求め、もがいてきた。
 「本当につらかった。常に『田中将大』の名前を出され、エースの働きをしなくてはいけないと思い込んだ。今年ようやく、田中さんの呪縛から解放された」
 田中は2013年に24勝無敗と神懸かった働きで球団を初の日本一に導いた。田中に次ぐ15勝で新人王に輝いた則本は翌年、ヤンキースに移籍した田中から後を託された。14〜16年と3年続けて2桁勝利を挙げたが、チームは下位に沈み続けた。
 「自分は自分でいいや」。岸の加入などで投手陣が充実した今季、肩の荷が軽くなったように感じた。7試合連続の2桁奪三振という新記録は3年間苦しんだ末に手にした勲章だった。
 則本は滋賀・八幡商高では甲子園の土を踏めず、三重中京大で奪三振の才能を開花させてプロへの道を切り開いたたたき上げだ。少年時代から心の支えにしてきた言葉がある。
 「弱気は最大の敵」
 「炎のストッパー」と呼ばれた元広島の速球投手で、1993年に急逝した津田恒実さんの座右の銘だ。気が優しかった津田さんは、この言葉から強打者に立ち向かう勇気を得た。2000年、小学4年の則本は津田さんの生涯を伝えるテレビ番組に感銘を受けた。「自分も強くなりたい」
 それから17年。津田さんと同じ14番を背負った則本は、同じく気迫に満ちた投球で新記録を打ち立てた。左手のグラブには「弱気は最大の敵」の刺しゅうがあった。(金野正之)


2017年06月02日金曜日


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