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<子ども食堂>地縁結び直す存在に

石巻市鹿妻地区で開かれた子ども食堂。成田さん(右)を中心に子どもたちに居場所を提供する

 東日本大震災の最大被災地・石巻市で展開される子ども食堂は子どもの支援にとどまらず、地域コミュニティーの在り方にも一石を投じる。取り組みをきっかけに住民の連携が強まった地域がある一方、震災後に被災者らが移り住んだ地域では食堂を軸に住民同士のつながりを模索する。

 2015年11月に石巻市で始まった「ていざんこども食堂」。ほぼ月に1回の割合で開催し、毎回児童ら約50人が集まる。
 運営に当たり同市貞山小と地域住民、それに市内のNPO法人TEDICが手を組んだ。市社会福祉協議会が調整役を担う。

 地域との連携に力を注ぎたかった貞山小。地域住民は子どもたちの様子が気になりながら接点を見いだせずにいた。NPOの門馬優代表(28)は「食堂をきっかけに住民と子ども、地域と学校がつながり、地区が多機能化した」と語る。
 食堂で交流を深め、自発的に子どもを預かる住民も出てきた。助成金などに依存しない持続可能な食堂を目指し、住民らは寄付集めにも奔走する。
 門馬さんは確かな成果を実感する一方、子ども食堂を「コミュニティー構築の特効薬」と見る向きには疑問を呈する。貞山地区は元々地域に根を張っていた地縁を子ども食堂を介して結び直し、さまざまな世代が新たな関係を築いた。
 「つながりの素地がない地域では、子ども食堂を核にしてもコミュニティーづくりには長い時間が必要だろう」と門馬さんは言う。

 震災後、アパートなどの新築に伴い新住民が流入した石巻市鹿妻地区。会社員の成田昌生さん(48)が昨年8月、友人らと共に子ども食堂をオープンさせた。
 地元の高齢者を指導役に迎え餅つきをするなど、住民との連携を図る。4月下旬には地元の神社の例大祭前夜祭に合わせて開催。食事後、約20人の子どもらを連れて境内に繰り出しゲームなどを楽しんだ。
 「食堂に来るようになってから、家族や友達の親以外の大人と話す機会が増えた」「みんなでにぎやかに過ごせて楽しい」。子どもたちの反応に成田さんは手応えを感じる。
 取り組みはまだ途に就いたばかり。地域で子どもを支える環境づくりを目指す成田さんは「住民と子どもがつながれば、もっと良い地域になるはず」と語る。


2017年06月03日土曜日


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