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<子ども食堂>おなかと心 満たす

宮城県女川町で始まった子ども食堂。さまざまな大人たちが連携し、運営している

 無料や低料金で利用できる「子ども食堂」が、東日本大震災の被災地で広がりを見せている。全国的には貧困問題の一環として取り組みが注目されるが、被災地では複雑な環境に身を置く子どもたちを支える場として、地域が広く受け入れるケースが目立つ。(石巻総局・関根梢)

 最大被災地の石巻市では2015年11月、宮城県初の子ども食堂として「ていざんこども食堂」が貞山地区でスタート。昨年は大街道や鹿妻、渡波の各地区でも始まり、現在は少なくとも4カ所で開かれている。
 今年になって4月に気仙沼市、5月には宮城県女川町でも始動し、被災地での活動が盛んになっている。
 その背景について複数の食堂関係者は「震災後、地域の子どもの実態がつかみにくくなったことが活動の引き金になった」と口をそろえる。
 気仙沼市内で子ども食堂を開設している奥原幹雄さん(42)は「復興工事などで子どもたちの遊び場が減少した。遊んでいる姿を目にする機会も減った」と指摘する。

 「子どもたちの状況を把握して支えるには日常的な支援が必要だ」と、子どもが集う場として食事を提供する。4月の初回は市内の小学生ら約25人が参加して盛況だった。今後も月1回のペースで開くという。
 女川町で5月14日にあった「みんな集まれ!おらほの女川食堂」には、保育園児から中学生まで約20人が参加した。ボランティアで運営を支えたのが小児科医や保健師、保育士や地域住民ら20人余り。業種を超えて連携し、当面は年4回開催を目指す。
 町では震災で住宅の89%が被災し、多くの町民が避難所から仮設住宅、災害公営住宅などへ転居を余儀なくされた。
 子ども食堂発起人の松原千晶さん(56)は「ハードの復興が進んでいるが、心の問題はなおざりになっていないか」と疑問を感じていた。「つらい状況に置かれている子どもに居場所を提供し、その中で支援したい」と意気込む。

 宮城県社会福祉課によると、現在把握している県内の子ども食堂は仙台、石巻、多賀城、塩釜の4市で17団体。関係者によると、さらに増加しているとされるが、全てはつかみきれないのが実情だ。
 全国で子ども食堂の運営に携わる関係者に情報共有を促している「子ども食堂ネットワーク」(東京)によると、15年4月の発足時は7だった参加団体は約2年間で235まで急増。主に子どもの貧困問題への関心の高まりを背景に活動が広がっているとみられる。
 松原さんは「貧困問題に限らず、子どものSOSをキャッチして住民を巻き込んだ支援につなげたい」と話す。


2017年06月03日土曜日


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