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<東京五輪>経費問題 地方軽視の姿勢混乱招く

 地方に費用負担を求める側の姿勢としては、あまりにも不誠実ではないか。
 2020年東京五輪・パラリンピックの東京都外会場の費用負担問題は5月31日、都外11自治体が招致段階の原則に沿って運営費を分担することで、都や国と大筋合意した。

◎東京検分録

 おかしいのは、具体的な負担額の決定が先送りされたことだ。都は何にどれだけ必要なのかを示さず「総額350億円」という数字を持ち出した。
 「積算根拠も示されず、なぜ必要か分からない」。村井嘉浩宮城県知事は率直に不快感を示した。小池百合子都知事は350億円について「都と組織委が試算した『規模感』で数字は変わる」と言うが、説明がないまま負担だけを求める姿勢は、地方からは上意下達にしか見えない。
 都に振り回される地方。ボート、カヌー・スプリント会場を宮城県長沼ボート場(登米市)に変更する案を巡って繰り広げられた昨年の騒動と構図が重なる。
 長沼案は昨年9月、開催費用などを検証する都の調査チームが小池知事に提案した。知事は、経費や立地面を理由に11月に変更を断念。宮城県が示した会場整備費を試算に反映しないなど不可解な面は多かった。
 国の調整力不足も今回の混乱に拍車を掛けた。丸川珠代五輪相は5月24日、国と都、組織委の3者が「都外自治体の費用負担はほぼ整った」と発表。頭越しの決定に、首長らは強く反発した。政府関係者は「自治体に提案する枠組みを合意したとの趣旨だった」と説明するが、地方自治を軽んじたのは明らかだ。
 村井知事は「ぎりぎり間に合った」と合意を評価しつつ、「正直なところ、国が前面に立って調整してほしかったとの思いはある」と不満を口にした。
 森田健作千葉県知事も「都の苦労は分かるが、大会誘致の責任とリーダーシップはしっかり取ってほしい。もう右往左往したくない」とくぎを刺す。
 経費負担の協議はこれからが本番。都と国、組織委員会はおざなりだった姿勢を改め、負担を求める側として誠実に交渉を進めるべきだ。(東京支社・片山佐和子)


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2017年06月05日月曜日


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