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<CSR>若者の復興支援活動 経験4割

 河北新報社が東北大経済学部の学生を対象に行ったCSR(企業の社会的責任)意識調査では、東日本大震災の復興支援に関わる企業への期待として、地域コミュニティーや産業の再生を挙げる回答が目立った。復興局面で果たす企業のCSR活動に関心を抱く一方、ボランティアなど何らかの復興支援に関わった学生は4割だった。

<企業の復興支援>
 被災地支援で企業が何を重視すべきかを聞いた(複数回答、グラフ(上))。「まちづくり・コミュニティー形成」が最多の54.1%。「農林水産業を含む産業の復興支援」(42.4%)「緊急援助」(32.8%)が続いた。
 被災地のインフラ整備が進む中、災害公営住宅での孤立や孤独死が課題となっており、コミュニティー再生に企業が率先して関わることを促す声が多かった。
 就職後、社会貢献活動に「参加する予定」「勤務先が奨励するならしたい」と答えた計57.8%のうち、半数が取り組みたい分野に「まちづくり・コミュニティー形成」を挙げた。

<復興支援の経験>
 ボランティアや寄付、募金などによる被災地支援の経験の有無を尋ねた(複数回答、グラフ(下))。支援活動の経験がない学生は6割で、理由は「機会がなかった」が最多。支援が活発に展開された震災発生後の初期段階、学生の大半は中学生で行動や経済面での制約があったとみられる。
 「理由はない」(30.1%)「授業やバイト、サークルが忙しかった」(22.1%)との回答も目立ち、震災の風化をうかがわせた。初動期に比べ復興支援のメニューは減っており、参加しやすい支援策を用意する必要がありそうだ。

<働くことの意味>
 働くことの究極の目的(複数回答)を聞いたところ、「楽しい生活を送るため」(45.8%)「経済的に豊かになるため」(41.2%)が突出した。「社会の役に立つため」(25.2%)「夢を実現するため」(14.3%)が続いた。
 低成長時代に育ってきた若者が自己実現や精神的な充足感を求めつつ、経済的な豊かさや安定を重視する傾向を印象付けた。

◎若者巻き込む実践が必要
 【解説】CSRへの理解が若者に広がりつつある。河北新報社の若者意識調査では、9割が被災地支援に熱心な企業に魅力を抱き、CSRという用語を知る人の半数近くが「CSRを軽視する企業は存続できない」と答えた。
 CSRの実践は「恩返し」に似た好循環を生む。河北新報社が3〜4月、経済同友会(東京)と仙台経済同友会の会員を対象に行った企業意識調査では、復興支援をした企業の7割は支援の受け手でもあった。
 ボランティアなど社会貢献活動の経験がある学生(40.8%)に限って見ると、7割が就職先を選ぶ際に企業のCSRの姿勢を重視している。一方、大半の学生はCSRと就職の関連付けが乏しく、意識の転換には至っていない。
 積極的になり切れない若者の多くは就職後「勤務先が積極的に奨励するなら、社会貢献をしたい」と企業の後押しを期待する。CSRの循環を広げる鍵は、企業が「恩返し」の起点の役割を自覚し、人材となる若者に影響を与えるような実践に取り組むことだろう。
 企業にとってCSR活動は経営的なメリットがある。企業意識調査では、被災地との関係を続けたい理由として「企業のブランド価値向上」「従業員の忠誠心、全社の一体感醸成」との回答がいずれも3割に上った。
 本紙朝刊で連載する「トモノミクス」は、震災を機に始まった復興CSRが企業と社会との結び付きを強め、利益優先とは一線を画した経営戦略として根付きつつあることを伝えている。差し伸べられた手は次につながる。CSRに目覚め始めた若者を巻き込んだ活動の展開が「恩返し」の好循環の成否を握る。
(「被災地と企業」取材班)


2017年06月05日月曜日


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