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<仙台市長選>知事の意向に自民市議反発

市長選の対応を協議した自民党市連の会合。菅原氏支援が軸だが温度差もある=5月30日、仙台市内

 任期満了に伴う仙台市長選(7月9日告示、23日投開票)の構図が輪郭を現し始めた。市政の主導権争いや政党対決、同志との決別など複雑な断面を見せている。告示まで1カ月あまりの前哨戦は、既に波乱含みの展開だ。(仙台市政取材班)

◎揺れる前哨戦(上)誤算

 「民間人市長」へのシナリオが、4年早まった。
 「経済界(の候補者)として、多くの皆さまから出馬要請を受けた」
 5月26日、青葉区のホテルで開かれた市長選立候補表明の記者会見。冠婚葬祭会社社長菅原裕典(57)は、民間の候補者であることを高らかに宣言した。

<想定外の引退>
 市役所内部や官僚上がりの市長が続く仙台市政。民間出身の市長誕生は、地元経済界の悲願だ。「その時」に備え、一部の経営者は水面下で準備を進めた。
 地元経済団体の幹部によると、菅原擁立の方針が固まったのは昨年秋。経済界から送り出す有資格者をリストアップし、「最終的に3人の経営者の中から菅原に絞り込んだ」と明かす。
 ただ、「その時」とは2021年の市長選だった。3選立候補が確実視され、菅原も支援した現職奥山恵美子(65)と相まみえるつもりはなく、奥山の電撃的な引退表明は想定外だった。
 シナリオの前倒しは、知事村井嘉浩(56)が決定づけた。4月8日の奥山の引退表明から2日後、村井は定例記者会見で「経済人の出馬も選択肢」と明言。既に菅原への打診を済ませた上での発言だった。
 菅原とは村井が県議時代からの付き合いで、以前から「一緒にやれたら幸せ」と語るほど入れ込む。県政界の頂上からの奔流。市長選の行方は決まったかに見えた。
 だが、村井の意向は市議会を仕切る最大会派・自民党の思わぬ反発を招く。

<不満が不信に>
 「市の『制空権』まで取ったつもりか」。自民の若手市議は、頭越しになされた村井の発言に露骨に不快感を示した。菅原市長が誕生した場合、市政への村井の影響力が強まることへの懸念が市議会内で根強い。
 村井への不満は、菅原に対する不信へと向かった。党市連が5月30日に開いた会合。早い段階で立候補に意欲を見せながら、政策を提示しない菅原に批判が噴出した。同日夜、菅原から電話で会合の内容を尋ねられた元議長の市議は「『なめているのか』という声もある」と率直に伝えた。
 村井は5日の定例記者会見で市長選での支援候補を問われ、「政策が出そろっておらず、申し上げられない」と前のめりの姿勢を封印。「村井と衝突できない」と話す市議がいる一方、立候補検討中の前市長梅原克彦(63)を推す声も残る。
 候補者選びで先行した自民に、野党が追い付いた。民進党県連は3日、元復興政務官の衆院議員郡和子(60)=比例東北=の擁立方針を決定。共産、社民両党や市民団体などとの幅広い連携を視野に入れる。
 知名度も実績もある対立候補の登場。「向こうは戦力を集中させてくる。候補者の一本化が必要だ」。危機感を募らせる自民市議の一人は、菅原支援での結束が不可欠とみる。(敬称略)


2017年06月06日火曜日


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