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<東北の道しるべ>山林経営の王道 東北に期待

◎NPO法人自伐型林業推進協会代表理事 中嶋健造氏に聞く

 自伐型林業の意義と広がりについて、NPO法人自伐型林業推進協会(東京)代表理事の中嶋健造氏に聞いた。

 日本の林業は、大きく施業委託型と自伐型に分かれる。委託型は森林組合などが施業を請け負い、自伐型は所有者が自ら施業する。
 決定的な違いは山を離れるかどうか。委託型は森林組合などの専業事業体が請け負った山を転々として稼ぐが、自伐型は一つの山から収入を得る。施業を委託していても、山を離れない地域住民や山守が長期的に請け負えば、自伐林家に近い施業となるため自伐型に含めている。
 現状は施業委託型が9割以上を占める。日本林業の特徴とも言えるが、施業の大規模化や作業効率が重視されるあまり、山林経営がないがしろにされ、とにかく問題点が多いと感じる。
 大型の高性能林業機械を導入し、ガンガン伐採してはげ山にする。そこを再造林している間に別の山に移って皆伐するということを繰り返している。作業林道も大きくなり、土砂災害や環境破壊を誘発している。
 本来、伐採した木は材質や大きさにより用途が変わる。だがコストが掛かるため、仕分けせずに出荷できる合板・集成材や発電用に多くを回している。高価な建築用材として使われなくなり、材価を下げる要因にもなっている。
 自伐型は、これら委託型林業の問題点を解決する。一つの山から毎年収入を得ていくため、皆伐はご法度だ。間伐を繰り返し、高く売れる高樹齢の木を増やす林業におのずと向かう。
 大型機械を使わないため作業林道が小さく、環境に優しい。施業の規模は大きくないが、初期投資や作業コストは少なく、今の低い材価でも十分もうかる。
 自伐型は林業の「王道」だ。所有者や地域住民が山林を経営するのが本来の姿であり、委託はあくまでも「補完」にすぎない。その補完が主流になったことで日本の林業がおかしくなった。本末転倒も甚だしい。
 同じ林業でも自伐型と施業委託型とでは真逆の方向を目指している。これからの日本、東北はどちらの道を選ぶべきかと問いたい。
 東北は山林が多く、自伐型林業が広がる余地は大きい。だが、現状は残念ながら山や木の使い方が荒っぽいと感じる。スギ、ミズナラ、クリなど良質な木がありながら、大きく育てようとか、付加価値を付けて売ろうという動きが乏しい。
 それでも、東日本大震災後は自伐型に関心を持つ人が増えている。一番多いのは農山村で暮らしたい若者たち。今後、成功事例となる自伐林家が東北にも現れれば、広がりは一気に加速するのではないか。

<なかじま・けんぞう>1962年、高知県生まれ。愛媛大大学院修了。IT会社勤務などを経て2003年にNPO法人「土佐の森・救援隊」(高知県)設立に参画し、09年理事長に就任。14年からNPO法人自伐型林業推進協会の代表理事。著書に「New自伐型林業のすすめ」など。


 戦後日本に価値観の転換を迫った東日本大震災を踏まえ、河北新報社は創刊120年を迎えた2017年1月17日、次世代に引き継ぎたい東北像として「東北の道しるべ」を発表しました。災後の地域社会をどう描くのか。課題を掘り下げ、道しるべの具体策を考える特集を随時掲載します。
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2017年06月06日火曜日


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