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<仙台市長選>民進 党と会派「同床異夢」

常任幹事会での安住(左から2人目)と郡(同3人目)、岡本(同4人目)。挙党態勢の構築が急務だ=3日、仙台市内

 任期満了に伴う仙台市長選(7月9日告示、23日投開票)の構図が輪郭を現し始めた。市政の主導権争いや政党対決、同志との決別など複雑な断面を見せている。告示まで1カ月あまりの前哨戦は、既に波乱含みの展開だ。(仙台市政取材班)

◎揺れる前哨戦(下)結束

 満足感が、言葉と表情の端々ににじんだ。
 「みんなが納得して次のステップに行ける手順を踏めた」
 3日午後、仙台市内のホテルであった民進党宮城県連の常任幹事会後の記者会見。県連代表の安住淳(55)=衆院宮城5区=は、党衆院議員郡和子(60)=比例東北=の仙台市長選(7月9日告示、23日投開票)への擁立を「満場一致」で決めたと強調した。

<難産の末 擁立>
 傍らには、郡と共に最終選考の俎上(そじょう)に載った民進市議の岡本章子(52)が座った。その1時間後、市議会の民進系会派「市民フォーラム仙台」が別のホテルで開いた会派総会で、岡本は不満を一身に浴びた。
 「市長選は人気投票じゃないんだ」「知名度だけで決めたなら納得しない」。声を荒らげる同僚議員を岡本は時折、目を潤ませながら説得した。
 民進の候補者擁立は難産だった。主戦論を掲げ、野党共闘の枠組みも模索する国会議員ら。片や会派は市政与党の枠組みにこだわり、相乗り論もあった。足並みの乱れは、最初から最後まで続いた。
 県連の候補者選考委員会から「市議会の意向」を問われ、会派は一致して代表の岡本を推した。市長選対応を巡る会派分裂を避けるための「人身御供」にほかならなかった。
 「会派にはさまざまな考えや立場の人がいる。党の決定に100パーセント従えとは言えない」。岡本は取材にこう明かし、「党が決めた候補者を私は支える。私を推した会派も、そうしてほしい」と続けた。
 選考委の混迷は、思わぬ「副産物」をもたらした。
 郡擁立に傾き始めた5月下旬、選考委メンバーの元衆院議員林宙紀(39)が離党を表明し、今月1日に市長選に名乗りを上げた。「政策ではなく人ありき」の選考への不満が理由だった。
 みんなの党から維新の党を経て民進に合流した林は党内では異質な存在だ。昨年暮れに発覚した民主党(現民進党)宮城2区総支部の不適正経理問題では、関与した市議らに厳しい姿勢で臨み、市議会会派との間に隙間風が吹いていた。

<2人分の責任>
 林と郡は2012年衆院選宮城1区で議席を争い、14年衆院選では林が2区に回り、郡に1区を譲った。「1区には自分と郡さんの2人分の責任がある。それを捨てるのか」と林。さまざまな事情と因縁が積み重なった末の決別だった。
 自民党にも政策を示して支援を呼び掛け、保守層の開拓を図る林。民進と郡は市民団体を触媒に、野党勢力の結集に向かう。
 「ゼロベースで新しい市政を生み出すチャンスだ」。市政野党が続く共産党市議団は共闘に意欲を示す。一方、自民党などと共に市政与党の一員だった民進市議からは「選挙後の市議会運営はどうなるのか」と不安の声が漏れる。
 同床異夢の党・会派と野党共闘。市長選の勝利に必要な「結束」に向けた解は、まだ見えない。
 市長選には元衆院議員大久保三代(40)も立候補を表明。街頭活動などで支持拡大に動いている。(敬称略)


2017年06月07日水曜日


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