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<鉄道よもやま@仙台>旅する駅弁 広告塔に

全国各地の駅弁が並ぶJR仙台駅の「駅弁屋 祭」。旅行客以外の利用も増えている=5月下旬
松井さんが収集する駅弁の陶製容器。仙台での催事などで、新たなコレクションを増やすこともある
広瀬川橋りょうを渡る東西線車両。日中は7〜8分間隔で運行。すれ違う2車両が見られる場合もある=5月5日午前7時半ごろ(鈴木さん撮影)

 100万都市仙台には、新幹線やJR在来線、仙台市地下鉄などたくさんの鉄道が走り、市民の暮らしを支えています。仙台圏で長年育まれてきた多彩な鉄道文化を掘り起こします。

◎会議や昼食会用注文増、催事でも人気

<地方の名物次々と>
 米沢市の「米沢名物牛丼弁当 牛肉どまん中」に神戸市の「明石名物 ひっぱりだこ飯」、広島市の「とろ〜り煮あなごめし」…。ずらりと並ぶ各地の名物駅弁が次々と売れていく。
 JR仙台駅2階コンコースの駅弁専門店「駅弁屋 祭」。扱っている100種類以上のうち、宮城県外の駅弁が約6割を占める。東京駅で人気の「祭」2号店として2015年夏に開店した。「県外の駅弁は地元や近県の方に好評。会議や昼食会用の注文も増えてきた」。運営する日本レストランエンタプライズ(NRE)仙台支店次長の佐藤恵子さん(44)は語る。
 鉄道の高速化や、「エキナカ」と呼ばれる駅構内の食品販売の充実により、仙台駅の駅弁の売り上げは減少傾向が続いてきた。「祭」で巻き返しを図った15年度の販売実績は77万食と低迷したものの、16年度は90万食と盛り返し、本年度も前年を上回るペースという。駅弁売店8店の売り上げの3、4割を占める「祭」が、復調を引っ張る。
 「利用者の選択肢が広がり『列車イコール駅弁』の感覚は薄れている。旅行客以外の利用を増やしたい」。佐藤さんはそう話す。
 仙台の駅弁はNREのほか、老舗のウェルネス伯養軒(名取市)と、こばやし(仙台市)が主に製造する。実は両社とも「仙台駅以外の販路が伸びている」(関係者)。「駅弁」ブランドは今、活況なのだ。
 約200種類以上の駅弁を扱い、平日でも約1万食を販売する東京駅の「祭」で、こばやしの「極撰(ごくせん)牛たん炭火焼き弁当」や伯養軒の「牛たん味くらべ」もよく売れているという。東京では「祭」以外にも地方の駅弁を売る売店が増え、両社は共同でトラック輸送を行い需要に応える。

<情緒薄れたの声も>
 もう一つ重要なのが各地の百貨店やスーパー。秋から春までほぼ毎週末、駅弁の催事やフェアに向けて出荷する。「スーパーなどへの『送り駅弁』は今や生命線」と伯養軒ケータリング営業部営業開発部長の藤井真さん(69)。引き合いが多い押しずしの生産数を大幅に増やすため、自動プレス機を導入したばかりだ。
 こばやし製造部長の黒沢隆盛さん(40)さんは「仙台に来られないけれど駅弁を食べたい人もいる。県内産のコメや野菜を使った駅弁が、宮城・仙台の広告塔になっている」と言う。鉄道旅のお供だった駅弁自体が旅をして、さまざまな場所で楽しまれる。そんな時代になった。
 20歳ごろから駅弁の陶製容器や掛け紙を収集してきた元JR東日本職員松井三郎さん(69)=宮城野区=は、駅弁の催事が仙台で開かれると欠かさず駆け付ける。「朝一番で出掛け3個、4個と買う。居ても立ってもいられない」。一方で「電車に乗り窓の外を眺めながら食べるのが本来の姿。便利になり情緒は薄れた」とも。愛好家の気持ちは複雑だ。

【おすすめ撮影スポット】

◎車両全体をすっぽりと/国際センター駅近くの桜の小径(青葉区)

 水面(みなも)の輝きや木々の緑、仙台の街並みに、銀色の車両が映える。広瀬川橋りょうを走る市地下鉄東西線の車両を見ると、カメラを向けたくなる人は少なくないのでは。
 橋を見下ろす国際センター駅2階の屋外テラスで写真を撮る人は多いが、みちのく鉄道応援団の会長で会社役員鈴木祐太郎さん(77)=青葉区=は広瀬川沿いの散策路「桜の小径(こみち)」でカメラを構えるのがお気に入りだ。より近く、低い位置から車両の側面を撮影できる。
 「足回りを含めた車両全体をすっぽりと写せる。コンパクトカメラでも、こんなふうに撮れるのは悪くないでしょう?」とにこやかに話す。
 国際センター駅周辺や対岸の西公園などを1時間ほどかけて歩くのが、鈴木さんのいつもの散歩コース。西公園側から、広瀬川橋りょうと隣り合う大橋から、など「車両を撮る新しいアングルをいつも探している」という。「季節による景観の変化や、光の加減も大事」と研究を重ねている。
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 宮城県内の鉄道ファンでつくる「みちのく鉄道応援団」(仙台市)の会員5人が、車両のお薦め撮影スポットを案内する。


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2017年06月08日木曜日


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