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<国保移管>税額引き上げ見込みに被災地困惑

 国民健康保険の運営が市町村から都道府県に移管されるのを前に、岩手県が示した市町村別保険税額の「試算」に沿岸市町村の困惑が広がっている。東日本大震災の被災市町村の一部で税額の大幅な引き上げが見込まれるためだ。県は市町村との協議を踏まえ、本年度中に正式な税額を決定する。

 2018年度導入の新制度で、各市町村でばらばらだった税額の算定基準を統一。県は新基準に従って市町村ごとの納付金を決め、市町村は加入者から集めた保険税を県に納付する。
 今回、県が示した1人当たりの年額税額は県平均11万3937円で、15年度に比べて6004円の引き上げになる。沿岸部では13市町村のうち8市町村で税額が増える(表)。陸前高田、釜石両市は引き上げ率が40%を超えた。
 釜石市は「あくまでも試算だが、それにしても増額幅が大きすぎる」(市民課)と困惑。陸前高田市の戸羽太市長は「びっくりした。被災地の事情を勘案したルールづくりをしてほしい」として、県に負担軽減を求める方針だ。
 新基準は、過去3年間の「医療費」と「所得」の平均値を反映して策定される。これに被災地特有の事情が作用し、沿岸市町村で税額が大幅に引き上げられたとみられる。
 被災地では、心身の負担が増して医療機関の受診回数が増えたり、住宅需要の高まりと土地売却の活性化で一時的に所得が増えたりしたためだ。
 県健康国保課は「試算は新制度移行に伴う国の財政支援を反映していない」と説明し、激変緩和措置などは市町村との協議で決める方針。一般財源からの繰り入れを検討する市町村があれば、さらに税額が変動する可能性もある。

[国民健康保険]75歳未満の自営業や農林水産業の従事者、無職の人が加入する公的医療保険。2015年度の岩手県内の加入者は31万1700人で、加入率は24.5%。運営主体の移管は国の医療保険制度改革の一環。加入者に高齢者や低所得者が多く、赤字になりやすい国保財政の安定化を図る。


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2017年06月11日日曜日


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