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<阿武隈急行>補助金頼み改善せず

 第三セクター阿武隈急行の車両更新費を巡り、宮城、福島の両県と沿線5市町が支援の検討を急いでいる。補助金頼みの赤字体質は厳しさを増し、人口減が進む地域の足を税金で支える構造は深刻だ。存続に向け、新たな需要を取り込む知恵が求められている。
 阿武急の1日当たりの輸送人員は約6900人(2016年度)。朝夕は通勤通学客で混み合うが、日中はまばらだ。累積赤字は10億円を超え、経営は県や沿線市町の補助金(表)なしに立ちゆかない。
 千葉宇京社長は14日、株主総会後の就任記者会見で「施設設備が老朽化し、経営環境は大変厳しい」と説明。「車両更新は安全運行に欠かせない。関係自治体と早急に協議を詰めたい」と理解を求めた。
 沿線は少子化による人口減が進み、乗客は減少傾向が続く。全国の地域公共交通が抱える共通の課題で、国土交通省は公共交通機関の利用者が減る地域に「地域公共交通網形成計画」の策定を勧める。
 自治体、交通機関の運営会社、住民、有識者らが協議会を構成し、計画にはまちづくりや観光振興と組み合わせた望ましい交通サービスの構想を盛り込む。全国で291件(5月末現在)策定され、ローカル鉄道の活用促進やバス路線の再編に生かされている。
 東北では36件の実績があり、東北運輸局は「計画作りは地域で交通機関の使い方を真剣に考え、実践する契機になる」と奨励する。計画に基づいて交通機関を再編する場合、国の財政支援が受けられる。
 宮城県の担当者は「まだ計画作りの機運に達していない」と消極的だが、阿武急の利用者増に向けて地域の協力、バスとの乗り継ぎ改善、観光への活用などの改革は避けられない。
 福島大人文社会学群の吉田樹(いつき)准教授(交通計画)は「阿武急の路線は福島市を起点とし、仙台市に近い。全国の他のローカル鉄道よりも条件は良いのに、人を呼び込む策を誰も能動的に考えてこなかったのではないか」と指摘する。
 沿線住民を巻き込んだ活性化への議論は不可欠とし、「鉄道を維持するリスクとメリットを明らかにし、必死に利活用を考えなければ衰退するだけだ。地域が主体性を発揮しなければならない」と強調する。
(角田支局・会田正宣、報道部・片桐大介)


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2017年06月16日金曜日


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