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<CSR>問われる人材活用力

 東日本大震災から7年目の今も、企業や民間団体は社員らの被災地派遣を続ける。中核的人材を送り込む事例もあり、長期的視点に立った人材育成につなげている。自治体側は直面する課題を解決し、復興を加速させる人的資源として生かせるかどうかが問われる。
 リクルートライフスタイル(東京)は、陸前高田市商工観光課に社員を派遣。教育旅行や研修の誘致、受け皿づくりを担当し、交流人口拡大を図る一般社団法人の設立につなげた。
 社員を派遣する企業は農林水産業の6次産業化や販路開拓、起業支援などで高い専門性を持つケースが多い。企業と自治体の橋渡し役を務めた日本財団の橋本葉一(よういち)さん(38)は「派遣された人材を単なるマンパワーと見るか、専門的な力を生かしてもらうか。捉え方によって自治体間で成果に差が出た」と指摘する。
 河北新報社の調べでは、派遣された従業員は30〜50代が全体の約8割を占めた。企業の意思決定に携わるなど働き盛りの世代に当たる。橋本さんによると、対象者は公募や面接で決める企業が多く、優秀な社員ほど希望する傾向があったという。中核として働く社員を指名する例もあった。
 TOTOでキャリア支援室長を務めた城之下(じょうのした)洋さん(60)は「会社の『文法』が通じない組織に飛び込み、利害関係者と信頼関係を構築するには普段の何倍もの努力が要る」と話す。
 同社の管理職の人事考課の評価項目にはチャレンジ性やネットワーク形成力がある。城之下さんは「人材育成の成果は短期的には見えにくいが、社内ではできない体験が5年後、10年後に生きる」と意義を語る。


2017年06月18日日曜日


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