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津波で全壊 仙台藩大肝入屋敷復元へ基金

倉庫に保管されている大肝入屋敷の部材
震災前の大肝入屋敷。気仙大工の技が息づく地区の誇りだった(岩手県立博物館提供)

 東日本大震災で全壊した陸前高田市気仙町今泉地区の大肝入(おおきもいり)屋敷「吉田家住宅」の復元を目指し、市が基金を創設することになった。藩制時代に気仙郡政の拠点だった歴史的建造物の再生を、地区復興のシンボルにしたい考えだ。
 大肝入は仙台藩村方役人の最上位職だった。旧藩内に唯一残る屋敷だったが、津波で伝統的な街並みとともに壊滅した。
 市は復興計画に屋敷の復元を掲げており、市議会で20日に基金条例が可決、成立した。ふるさと納税や寄付、一般財源からの組み入れにより、4年間で計2億円の積み立てを目指す。
 事業費は4億円以上を見込んでおり、屋敷を文化財に指定した岩手県の支援も期待する。
 震災後、県立博物館は散乱するがれきの中から多くの部材を回収した。市が倉庫を建てて保管しており、将来的に吉田家から寄贈を受ける予定だ。
 市は今後、回収した部材が建物のどこに使われていたかや、実際に使用できるかどうかを調査して復元計画を作成し、県に提出する。実際の復元を通じて伝統の気仙大工の技を継承する狙いもある。
 屋敷の復元と並行して、市は今泉地区の歴史的街並みの形成を図る。民家や店舗を再建する際は外壁、屋根などの景観に配慮するよう求めていく。
 今泉地区では震災後、住民の大半が転居。高台造成やかさ上げに時間を要し、商業地の整備は2020年度までずれ込む見通しだ。
 往時のにぎわいが復活するか懸念される中、市民有志でつくる「陸前高田・今泉地区明日へのまちづくり協議会」会長の村上孝嘉さん(70)は「大肝入屋敷はさまざまな活用が見込まれ、まちづくりの起爆剤になり得る。復興の象徴としてぜひ残してほしい」と期待する。


2017年06月21日水曜日


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