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<鉄道よもやま@仙台>模型走らせ至福の酒

カウンターを囲むように敷かれたNゲージの線路。小林さん(右)との語らいも話題が尽きない。同好の士が顔をそろえ、今夜もおいしい酒になりそうだ=仙台市青葉区の鉄道バー「北斗七星」
【写真】新緑の季節、熊ケ根橋から望む赤の熊ケ根鉄橋。さっそうと渡るE721系電車との対照が鮮やかだ。足がすくむ高さから見下ろすと、険しい渓谷を縫うように広瀬川がせせらぐ=4月下旬(大崎さん撮影)

 100万都市仙台には、新幹線やJR在来線、仙台市地下鉄などたくさんの鉄道が走り、市民の暮らしを支えています。仙台圏で長年育まれてきた多彩な鉄道文化を掘り起こします。

◎ファン集まるバー カウンターにNゲージ/「会派」超え 弾む談義

<愛着が高じて開業>
 東北一の繁華街・国分町に近い稲荷小路に、鉄道ファンが集うちょっと風変わりな鉄道バー「北斗七星」(仙台市青葉区)がある。その名は、かつて上野−札幌間を結んだJRの寝台特急「北斗星」に由来する。
 扉を開けると、カウンターに設けられた1周約8メートルの鉄道模型のNゲージが目に飛び込む。世代も職業もさまざまな愛好家たちは自慢の車両をレールに載せ、好みの酒をちびりちびり。昨年春廃止された12両編成の寝台特急「カシオペア」から、東北でも活躍した1両編成のキハ40形気動車まで、長短さまざまな列車が行き交う。至福の時間が静かに流れる。
 店のオーナーは、設計事務所経営の建築士小林茂文さん(64)=泉区=。鉄道模型への愛着が高じて昨年夏、東北初となる鉄道バーの開業を実現させた。夜な夜なカウンターに立つ姿は心底楽しそう。鉄道全般の見どころや旅の楽しさを明快に教えてくれる。
 鉄道との出合いは中学時代にさかのぼる。陸羽東線の鳴子温泉駅を出発する蒸気機関車(SL)の迫力にただただ圧倒された。「当時姿を消しつつあったSLの撮影に熱中し、やがて鉄道模型にのめり込んでいきました」とほほ笑む。

<大人の夢かなえる>
 常連の会社員寺本栄一さん(60)=青葉区=は「マニアに見られがちな、とかく肩身の狭い鉄道ファンが、こうして思いのたけを語り合えるなんて…」と顔をほころばせる。「大人の夢をかなえてくれる空間が末永くあってほしい。店を支えるのはわれわれファンの使命なんです」
 仕事で仙台に出張した人がふらり立ち寄るケースも目立つ。「知らない街で飲みに行く際、鉄道ファンがインターネット検索などで店名を見て決めるようです」と小林さん。
 小林さんは10年ほど前から、青葉区旭ケ丘でNゲージの模型運転場「レンタルレイアウトランド旭ケ丘線」を運営している。鉄道バーでも、動かなくなったり、調子が悪くなったりした模型の修理を請け負う。
 ファンの細分化が年々著しいとか。店では主流の「模型鉄」に加え、路線を乗り尽くす「乗り鉄」、撮影に情熱を注ぐ「撮り鉄」、時刻表を追究する「スジ鉄」、音を収録する「音鉄」など多種多彩だ。カウンターのお隣り同士、「所属会派」を超え、こよいも談義が弾む。


<メモ>仙台市青葉区一番町4の4の8、仙台協立第5ビル地下1階▽午後7時半〜11時半。日祝日、水曜定休。臨時休業の場合がありホームページ参照▽ウイスキーやワイン、焼酎など飲み物2杯とおつまみで3500円。模型の持ち込み無料▽カウンター12席▽022(262)5033。

「Nゲージ」レールに流れる電流で走る鉄道模型の規格の一つ。レールの幅が9ミリで、9の英語(Nine)の頭文字を取った。多くの車両の縮尺は150分の1。欧米の主流は大型のHOゲージ(16.5ミリ)だが、日本では住宅事情などから最も普及している。


【おすすめ撮影スポット】

◎熊ヶ根橋から望む熊ヶ根鉄橋(青葉区)/車両と対照 鮮やかな赤

 「赤い鉄橋に、緑ラインの列車はコントラストが抜群。新緑の春、濃緑の夏、秋は紅葉、冬になれば雪景色と、四季折々の景観を満喫できます」
 みちのく鉄道応援団の大崎啓一さん(67)=仙台市若林区=お気に入りの被写体は、仙台のシンボル広瀬川に架かるJR仙山線の第2広瀬川橋りょう(熊ケ根鉄橋、青葉区)。多くの鉄道ファンの人気を集める。
 大崎さんは、川の下流側に並行して架かる国道48号の熊ケ根橋を撮影場所に選んだ。熊ケ根駅前から48号を陸前白沢駅方面に向かって徒歩10分ほどで着く。
 鉄橋の完成は1931年。架台の高さが約40メートルと全国一を誇る。仙山線鉄道施設群の一つとして、土木学会の2014年度選奨土木遺産にも認定されている。
 大崎さんは「三種の神器」と重宝するカメラ、時刻表、地図を携え、上下線それぞれ1時間に1本程度の列車が橋を渡るのを待ち構える。「列車に関心が向きがちですが、産業遺産である鉄橋の価値に思いをはせてほしいですね」
 仙山線を走る車両は現在、E721系電車がほとんどでやや寂しい。より多彩な表情を楽しみたいというのが大崎さんの願いだ。


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2017年06月22日木曜日


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