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<ごみ焼却施設>覚書ほご 行政に不信感

盛岡広域8市町が、ごみ焼却施設の整備候補地に挙げた盛岡市クリーンセンター
一関地区広域行政組合がごみ焼却施設の整備を検討している一関市狐禅寺地区

 ごみ焼却施設の建設を巡り、岩手県の盛岡、一関両市で住民の行政不信が深まっている。どちらも稼働中の焼却施設を抱える地域で、「同じ場所に新施設は造らない」などとした過去の覚書がほごにされているためだ。「状況が変わった」と理解を求める市に対し、住民団体は「行政の都合を押し付けるな」と反発を強めている。

<「事業主体違う」>
 盛岡市など盛岡広域圏の8市町でつくる「岩手県央ブロックごみ・し尿処理広域化推進協議会」は5月、新施設の整備候補地に一般ごみ焼却施設「盛岡市クリーンセンター」を挙げた。
 盛岡市はセンターが稼働する直前の1997年、周辺町内会と「施設更新の際は分散型立地を原則」とする覚書を締結。だが新施設の整備計画は、処理経費と二酸化炭素排出量の削減を目的に、8市町の6施設を集約する方向にかじを切った。
 センター周辺の住民でつくる「ごみ処理広域化計画の撤回を求める会」の佐藤信安代表は「明らかな覚書違反。20年前は覚書があったからこそ建設を受け入れた。裏切られた」と憤る。
 市の菅原英彦環境部長は「覚書は盛岡市と地域で結んだが、今回は8市町の作業」と事業主体の違いを強調する。住民説明会で覚書の見直しを含めて意見交換する考えだが、住民が納得するかどうかは不透明だ。

<地域で意見対立>
 同様の事態は一関市狐禅寺地区でも起きていた。
 一関市と岩手県平泉町でつくる「一関地区広域行政組合」は新施設の整備を狐禅寺地区に絞り、2014年7月から住民説明会を重ねてきた。
 ここでも組合は2000年に「新たなごみ焼却施設を狐禅寺に造らない」との覚書を地元と交わしていた。
 組合は、新施設へのグラウンドゴルフ場などの併設による雇用創出や経済効果と引き換えに、地域住民を説得する方針だ。組合管理者の勝部修一関市長は「施設の具体像を示して覚書を変更したい」と語る。
 これに対して反対派住民は、現地調査は覚書違反として監査請求に踏み切るなど徹底抗戦の構え。一方で施設整備に土地の提供を申し出る地権者も複数おり、住民対立が激化している。
 市民団体「狐禅寺の自然環境を守る会」の高橋佐悦共同代表は「仲良くやってきた住民も今やばらばら。バラ色の話で住民をだますのか」と怒る。

<早期協議あれば>
 岩手大の井上博夫名誉教授(環境行政論)は「行政は迷惑施設を整備する際、住民の反対を恐れて内部で事を進めがちだ。早い段階で地域と協議していれば第3の道も探れたのではないか」と指摘。「行政が住民と交わした約束を守れないなら、地方自治は壊れてしまう」と危惧する。

[盛岡広域8市町の新ごみ焼却施設]盛岡、滝沢、八幡平の3市と雫石、矢巾、紫波、岩手、葛巻の5町のごみを集約処理する。整備候補地はいずれも盛岡市内で市クリーンセンター敷地のほか、都南工業団地付近、東北自動車道の盛岡インターチェンジ(IC)付近と盛岡南IC付近の計4カ所。2018年2月までに建設地を決める。

[一関地区広域行政組合の新ごみ焼却施設]老朽化した一関市狐禅寺の一関清掃センターに替わる新施設。東京電力福島第1原発事故で発生した指定廃棄物を処理する国の仮設焼却施設とセットで建設する方針だったが、地域住民の反対で仮設焼却施設の建設は議論が棚上げされている。


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2017年06月22日木曜日


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