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「おいしい」が励みに 感謝のすし、握り締め

トレードマークのかっぽう着姿で握ったすしをすしげたに並べる浅野さん

◎開業65年の食事処、月末閉店/82歳女性店主高齢で

 仙台市青葉区一番町にある開業65年の「食事処(どころ)よごろう」を切り盛りしてきた店主浅野知子さん(82)が、高齢を理由に6月末での店じまいを決めた。約40年間、自らすしを握ってきた。看板メニューのにぎりずしや煮魚が付く晩酌セット、マグロ丼やちらし丼のランチを求めて通った一番町かいわいの常連客からは「お疲れさまでした」とねぎらう言葉や親しんだ味を惜しむ声が寄せられている。

 「80歳を過ぎてから両耳が遠くなり、お客さんとの会話も大変になってしまってね。ずるずると続けて来たけれど、今月初めに決断しました」
 穏やかな表情で調理場に立つ浅野さんの元には、一報を聞きつけたなじみ客が続々と訪れている。通常は日曜定休だが、6月は第1日曜日以外は休まず店を開けることにした。連日午前11時に店を開け、午後8時ごろまで営業している。
 店は1952年、青葉区国分町にある与五郎寿司(ずし)本店の一番町支店として開業。15歳の時から本店で働いていた浅野さんは、58年からこの店を任され、65年に独立後、店名を改めた。
 当初いた男性のすし職人が40年ほど前に店を辞めてからは、常連に「やってみたら」と勧められてすしを握るようになった。「私の握り方は見よう見まねで覚えたもの。仙台で女性がすしをにぎる店は珍しいんじゃないかしら」と照れたように笑う。
 60年代は企業などへの出前だけでも1日40〜50件ほどあり、店内も近くに勤める銀行員や会社員らでにぎやかだった。浅野さんは「今の一番町は、会社が少なくなって駐車場が増えた」と寂しそうに言う。
 6年前の東日本大震災以降はパートを雇うこともやめ、十数人でいっぱいになる店を1人で守ってきた。
 「『おいしい』と喜んでもらえることを一番に、一生懸命頑張ってきた。何十年も通ってくれる良いお客さまに恵まれました」と浅野さん。最後の日まで優しい笑顔で来店客を迎える。


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2017年06月24日土曜日


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