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<里浜写景>旅立ちの時迎えた千両役者

夕闇迫る陸奥湾にカマイルカの巨体が飛び交う。近くに小魚が群れていたのだろうか、水鳥がぶつからんばかりに接近してきた
大海原でジャンプするカマイルカ=陸奥湾

 昼と夜の間のモノクロームの景色が、濃厚に陸奥湾を覆い始めた。たそがれの水面に舞うのは、海の千両役者カマイルカだ。
 春になると、イワシを追って日本海を北上するが、津軽海峡で南下して陸奥湾に入るグループもある。寄り道好きのイルカはサービス精神の方も旺盛。フェリーに並走したり、豪快にジャンプしたり。
 よく出合うという定期フェリーの船員は「息遣いまで聞こえるんじゃないか、と思うほど船に近づいてくる」と話す。陸奥湾でホタテを養殖する漁業者の観察によれば「結構、やんちゃなしぐさをする。遊んでほしいみたいだよ」。
 親の脇腹にぴったりくっついて泳ぐ赤ちゃんイルカの姿も。「外海よりずっと波が穏やかだし、えさも豊富。出産や子育てに適しているのでしょう」と生態調査を進めている青森大の清川繁人教授(遺伝子工学)は推測する。
 地元の人から温かく見守られてきたイルカたちも、もうすぐ北へ旅立つ季節。得意のジャンプを繰り返して、名残を惜しんでいたのかもしれない。
(文と写真 写真部・長南康一)

<メモ>陸奥湾をカマイルカが回遊するのは春から初夏にかけての約2カ月間。体長は2メートル前後、背びれに鎌のような模様がある。「むつ湾フェリー」(青森県外ケ浜町〜むつ市)や「津軽海峡フェリー」(函館市〜青森市)などの船上からも泳ぐ姿を楽しむことができる。


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2017年06月25日日曜日


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