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三陸サケ文化、調査幅広く 初の文系研究員

早朝の魚市場通いが日課の吉村さん(左)。仲買人から魚にまつわる呼び名や料理法、風習などを聞き出す

 東大国際沿岸海洋研究センター(岩手県大槌町)に今春、初の文系研究員が着任した。生態人類学が専門の吉村健司さん(34)が取り組む研究テーマは「サケと三陸の人々との関わり」。今後2年間でサケ漁の伝承や浜の儀礼を調査する。
 吉村さんが着目するのは、浜に点在する「供養塔」の数々だ。供養の対象はサケ、アワビ、鯨などさまざま。建立の理由も捕獲、信仰など多岐にわたる。
 漁にまつわる儀礼にも漁期前の大漁祈願、無事に漁期を終えたことへの感謝と地域ごとに違いがある。
 吉村さんは「供養塔と儀礼を調べることで、サケをはじめ海洋生物に対する地域の向き合い方を理解する手掛かりにしたい」と語る。
 併せて三陸漁業の実態も調査する。魚種ごとの漁期や漁獲方法、漁に関する取り決めなどの変遷を分析し「最終的には、地域社会や文化を形作ってきた三陸のサケ漁の全体像を明らかにしたい。各地を回って聞き取りと観察を重ねていく」と意気込む。
 吉村さんが所属する研究チームは、三陸のサケを「南限のサケ」と定義付け「生態的、歴史的、文化的価値の再構築」を目指す。ほかのメンバー3人は全員が理系研究者だ。
 リーダーの青山潤教授(魚類生態学)は「サケに関してあらゆる情報を集めてほしい。文理融合のチーム特性を生かし、気象と漁獲量の関係といったサケにまつわる伝承を科学的に検証するなど、新たな研究につなげたい」と期待する。


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2017年06月25日日曜日


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