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プレハブ仮設再利用進まず 経費負担が重荷

宮城県が無償譲渡を呼び掛けた気仙沼西高のプレハブ仮設住宅。再利用の見通しは立っていない=気仙沼市

 東日本大震災の被災者が退去した後のプレハブ仮設住宅の再利用が低迷している。宮城県は企業や自治体に無償譲渡を呼び掛けているが、対象の1126戸のうち活用されたのは約3%の37戸(5月末時点)にとどまる。解体や輸送、リフォームにかかる経費の自己負担が敬遠される要因とみられ、県は対応策に頭を悩ませる。(気仙沼総局・大橋大介、報道部・桐生薫子)

 「同規模の建物を新築するのに比べ移設費用は必ずしも安くない。場所の確保や最終的な処理費の問題もある」。菅原茂気仙沼市長は21日あった市議会6月定例会一般質問の答弁で、プレハブ仮設の再利用が進まない現状を解説した。
 県が4月に公募した気仙沼西高のプレハブ仮設30戸には応募がなく、市も有効な活用策を見つけられなかった。菅原市長は「(譲渡によって)県の仕事は減るし『もったいない精神』を持つことも大事だが、市民に将来負担を与えるわけにはいかない」と強調した。
 昨年8月、県はプレハブ仮設の再利用先として復興に取り組む民間企業や社会福祉法人、自治体などを対象に募集を開始。2020年東京五輪・パラリンピックのボート、カヌー・スプリントの会場候補に県長沼ボート場(登米市)が浮上した際は、選手村としての活用を提案した。
 これまでに譲渡されたのは水産加工会社の社員寮や自治体所有の公園休憩所の計5戸。県は警察学校女子寮や県立障害者福祉施設などに32戸を転用したが、1000戸以上が残る。
 企業や自治体が再利用に二の足を踏む理由は移設に要する経費にある。大手住宅メーカーの施工で耐久性には優れるが、移築費用の相場は1戸当たり350万〜400万円に上る。耐震性確保の観点から2階建てにリフォームできないなど構造的な課題もある。
 県震災援護室は「移設費に補助金を出すなどの対応は難しい」と説明する一方で「プレハブ仮設のリサイクルが進めば災害廃棄物が減るという利点もあり、譲渡要件の緩和などを検討したい」との考えを示す。


2017年06月26日月曜日


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