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議会の自主解散案否決 私欲捨て再考を

議会の自主解散を求めた決議案を否決した三種町議会の臨時会。議会改革に向けた町議、町民の意識が問われている

 秋田県三種町議会(定数18、欠員1)が6日の臨時会で、来年4月に自主解散を求める決議案を否決した事態は、議員の議会改革に対する意識の低さを浮き彫りにした。改選後も1カ月半の任期が残り、新人議員がこの間、議会に出席できない不都合を解消するために議会自らが議論を始めたはずだ。決議案否決の背景には、議員報酬を巡る思惑も透けて見える。議員は私欲を捨て、議会の在り方を再考すべきだろう。
 琴丘、山本、八竜の3町が2006年3月に合併して誕生した三種町は、法に基づく在任特例で議員の任期満了を6月30日とした。町議選は経費削減や投票率向上などの理由から、10、14年は5月の町長選との同時選で実施した。
 選挙の年の6月定例会は、骨格にとどめた当初予算に肉付けをする重要な場だ。にもかかわらず、改選前の議員の任期中であるため、10年は2人、14年は4人の新人が6月定例会に出席できなかった。
 当選した新人が議会に出られずにいる一方、落選議員や引退する議員が議決権を行使し、報酬を得ることに問題はないのか。
 落選しても、議員の任期は法的に保障されていることは論をまたない。ただ、有権者が抱いているのは「違和感」だ。選挙で押し上げた議員が、改選直後の議会の議案審査に臨めない。町民から批判や疑問の声が上がるのもうなずける。
 改善を迫られた議会は昨年8月、議会改革特別委員会を設置した。議員の任期満了を早めることで不都合の解消を図る−。委員6人の満場一致で自主解散を求める決議案をまとめたが、臨時会の採決は賛成7、反対9(議長を除く)。委員2人が反対に回った。
 「合併から10年しかたっていない。任期を変えるには早い」。造反した委員の一人は、こう弁明した。反対した別の議員は「新人が議会に出ても見ているだけで終わる」「今のやり方を変えたくない」と話した。
 それでは、何のための特別委だったのか。委員長を務めた清水欣也議員は「個人の思惑を優先したのではないか」と憤った。確かに、取材すればするほど議員の「自己保身」とも受け取れる状況が浮かび上がる。
 町議会は06〜14年で、定数を22から18に削減した。来年の選挙は16でさらに2減となり、複数の新人が立候補するとの臆測も飛び交っている。
 「議席を失うことを懸念した現職が、6月の期末手当を含めた報酬目当てで反対した」。自主解散すれば70万円近い報酬が受け取れなくなるとあって、そう勘繰る町民は多い。当の議員らは「報酬が目的ではない」と口をそろえるが、決議案を退けた理由をはっきり示せないままでは、お手盛りの印象は拭い切れない。
 町の財政事情などから、同時選は今後も続くとみられる。それだけに、全国でも異例とされる状況を自ら解消できなかった議員らの怠慢は批判を免れない。
 議会改革の行方は来年5月執行見込みの町議選に委ねられた。ある町民が「自ら身を切る覚悟があるかどうかを見定めたい」と言うように、改革できる候補者を選ぶしかない。町民の意識と覚悟も問われることになる。(秋田総局・鈴木俊平)

[議会の自主解散]「地方公共団体の議会の解散に関する特例法」は、議員数の4分の3以上が出席し、その5分の4以上が賛成すれば議会を自主解散できると定めている。住民の直接請求(リコール)のほか、首長不信任案が可決された場合は首長の判断で10日以内に実施可能。秋田県内の25市町村議会で過去に自主解散した例はない。


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2017年06月26日月曜日


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