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てんこ盛り「石井食堂」地元・葛尾村で再開へ

てんこ盛りのチャーハンを笑顔で提供する秀昭さん=福島県三春町の石井食堂仮設店舗
外装が完成した石井食堂の新店舗=福島県葛尾村

 大きな皿にてんこ盛りのボリュームが自慢の食堂が今夏、福島県葛尾村で営業を再開する。家族4人で切り盛りし、東京電力福島第1原発事故後に同県三春町の仮設店舗に移った「石井食堂」。常連客から「三春に残ってほしい」と頼み込まれたが、原発事故から6年余を経て「葛尾と共に進む」と決断した。

 三春町にある葛尾村の仮設住宅敷地内のプレハブが石井食堂の仮設店舗だ。カレーライス(600円)にラーメン(500円)、冷やし中華(700円)。定食を含む約30種のメニューは、いずれも盛りがいい。
 中でもチャーハン(600円)は特大で、体格の良い男性客でさえ「完食できない」と話すほど。元々大盛りだったところに、被災地支援で大皿の提供を受けた。「器に合わせたらもっと大盛りになった」。3代目の石井秀昭さん(32)は笑顔で語る。
 石井食堂は2代目の一夫さん(61)と、妻の恵理子さん(58)が調理係。長男の秀昭さんと、次男の貴裕さん(23)が配膳・レジ担当だ。創業は約50年前。村役場に近い県道沿いで、総菜や生鮮食品、パン、調味料も販売してきた。
 原発事故後、家族は会津地方への一時避難を経て三春町の仮設住宅に。2011年11月、村商工会から打診を受けて仮設店舗を開設すると、復興工事の作業員に加え近隣から家族連れも訪れるようになった。
 葛尾村は昨年6月、避難指示が一部を除き解除された。三春の常連は「店がなくなると困る」と言ってくれるが、「村に戻ろう」と決めたという。
 帰村した住民はまだ人口の1割台にとどまる。原発事故前のように釣り客らの来店も見込めず営業に不安はあるが、迷いはない。秀昭さんは「『店が戻れば村に帰る』と言ってくれる人がいる。帰村したお年寄りにも頼りにされている」と言葉に力を込める。
 再開へ準備は着々と進んでいる。旧店舗の並びに新築する店舗兼住宅(地上2階、地下1階)は、既に外装が完成。以前ほどの広さではないが、約40人の来店に対応できる。
 値段も盛りも変えず、気軽に入れる店を守り続ける予定。仮設店舗で控えてきた酒類の提供を再開する。
 「村民みんなが笑って生きてほしい。たくさんの笑顔が村に戻るのを食堂で待ち続ける」と秀昭さん。4人は食堂を「村民の再会場所」にする心意気だ。


2017年06月26日月曜日


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