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<鉄道よもやま@仙台>大回り乗車 楽しもう

リゾートみのりの車内で、ビールを片手に深緑の車窓を楽しむ高橋さん(左)と鉄道ファン仲間の鈴木祐太郎さん=6月中旬、山形県舟形町
運賃計算の特例が適用となる仙台近郊区間
鉄橋を駆ける「金太郎」。1時間に1、2往復通るという=5月5日午前10時50分ごろ、仙台市太白区八本松1丁目(鈴木さん撮影)

 100万都市仙台には、新幹線やJR在来線、仙台市地下鉄などたくさんの鉄道が走り、市民の暮らしを支えています。仙台圏で長年育まれてきた多彩な鉄道文化を掘り起こします。


◎運賃特例利用 ローコストの旅/四季の景色 車窓彩る

<総距離は252キロ>
 深緑が美しい6月の日曜日、仙台市若林区の会社員高橋敏昭さん(51)と、鉄道ファン仲間2人との電車の旅に同行した。宮城、山形両県にまたがる仙山圏を巡る小旅行だ。
 今回のルートは、JR仙台駅を仙山線下り列車で出発し、羽前千歳駅(山形市)で奥羽線下り列車に乗り換え、新庄駅(新庄市)から観光列車「リゾートみのり」に乗り継いで、陸羽東線、東北線を通り再び仙台駅に戻ってくる、総距離252キロのいわゆる「大回り乗車」。運賃計算の特例で、4400円(羽前千歳と新庄で途中下車した場合)かかるところを計900円で済ませようというローコストなプランだ。
 特例を利用するだけに、注意すべき点がある。「検札の際、乗務員に大回り乗車中であることを説明しやすいよう、事前にみどりの窓口で乗降駅や経由駅を明記した切符を買っておくこと」と高橋さん。
 一行は仙台駅を午後0時11分発の列車に乗り込むと早速、昼食の駅弁にパクついた。「熊ケ根鉄橋、山寺…、仙山線沿線は山深くて風光明媚(めいび)。紅葉や雪景色の頃も感動的ですよ」と高橋さんは口をもぐもぐ。他の2人と「秋が最高」「いや、深緑の夏だ」とトークは弾む。
 羽前千歳駅に着くと、午後1時39分発の列車に乗り換え新庄へ。「進行方向左手に月山や葉山が望めます」と高橋さんが窓の外を指す。新庄駅手前辺りでは、天候次第で鳥海山を遠望できるという。

<改札では注意必要>
 午後2時42分、新庄駅に到着。向かいのホームには今回の旅の一番のお楽しみ、リゾートみのりが待っていた。座席は普通列車よりゆったりした造り。車内販売で玉こんにゃくなどを求めると、持参の缶ビールで乾杯。山形県最上町の瀬見温泉駅付近で「こちらにカメラを構えている人がいますね。いい写真撮れたかな」とファン仲間の会社員佐藤茂さん(59)=仙台市太白区=。自身の撮り鉄心もくすぐられた模様。
 西日が車窓から差し込む午後5時半すぎ、車内アナウンスが「間もなく仙台駅です」と告げた。大回り乗車中に最も心配だったのは、悪天候や事故で運休が発生し切符が有効期限の1日を過ぎてしまうこと。高橋さんは「うまく旅を終えることができましたね」と充実感を漂わせた。
 大回り乗車の旅では、最後に改札を出る際も注意が必要だ。自動改札機は利用できず、改札口の駅員に使用した全ての切符を見せ乗車した経路を説明しなくてはならない。「駅員さんを困らせないよう気を付けながら、いろんなルートを楽しみたいですね」と高橋さんはほほ笑んだ。

<メモ>今回の切符代総額は、仙台から一駅先の東照宮(仙台市青葉区)までの190円と、「大回り乗車」の対象となる東照宮から羽前千歳(山形市)、新庄(新庄市)で乗り換えて再び仙台に戻る190円。加えて新庄から仙台まで乗車する観光列車「リゾートみのり」の指定席券520円の計900円となる。

<JRの運賃計算の特例>首都圏を始め、京阪神間や仙台、新潟、福岡各市のJRが定める大都市近郊区間は、在来線で普通列車を利用する場合、2度同じ駅を通らず途中下車をしない限り、実際に乗った経路にかかわらず、最も安くなる経路の運賃で乗車できる。有効期限は1日。


【おすすめ撮影スポット】

◎広瀬川の堤防(太白区)/多彩な列車 頻繁に往来

 仙台市地下鉄の長町一丁目駅(仙台市太白区)を出て東へ数分歩くと、鉄橋の架かる広瀬川に出る。堤防上の歩道からは、新幹線やJR東北線、仙台空港アクセス線、阿武隈急行など多彩な車両が行き来する様子を眺めることができる。
 「この辺りは複数の線路が並走していて、市内で最もたくさんの種類の車両にお目に掛かれるエリアなんです。通る本数も多いですよ」。みちのく鉄道応援団の公務員鈴木典宏さん(41)=青葉区=は、そう言って鉄橋にカメラを向ける。
 鈴木さんがここで狙うのは、鉄橋の最も東側の線路を走る上りの貨物列車。「金太郎」の愛称で知られるJR貨物の電気機関車EH500形が、20両ものコンテナ車をけん引して駆け抜ける迫力のカットを捉えることができるという。
 「貨物列車は先頭から最後尾まで最長500メートルにもなり、東北では最も長い列車なんです」と鈴木さん。撮影は順光で撮れる午前がお薦め。日よけになる建物がないので、これからの季節は帽子をお忘れなく。


関連ページ: 宮城 文化・暮らし

2017年06月29日木曜日


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