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<都議選>「風化防いで」都内避難者、論戦注視

東雲住宅で自治組織が定期開催するサロンでは、避難住民同士が懇談し励まし合っている=27日、東京都江東区

 東日本大震災や東京電力福島第1原発事故によって東北から東京に避難した被災者が、都議選(7月2日投開票)の論戦を注視している。都は公営住宅の提供など支援策を通じ、被災地と深く関わってきた。小池百合子知事を中心軸に各党の勢力争いが焦点となった選挙戦。被災者は、震災を教訓とした災害対策の強化や原発事故の風化防止策を求める。(東京支社・瀬川元章、片山佐和子、小沢邦嘉)
 江東区の国家公務員宿舎「東雲(しののめ)住宅」。福島県から避難した人を中心に現在も被災者約650人が暮らす。都が国から借り上げる形で2011年4月に確保した都内最大規模の避難先だ。
まだ帰郷できず
 「本音は生まれ育った古里に戻りたい。でも、病院や買い物の不安がある場所で一から出直すのは難しい」。南相馬市小高区から移り、住民の自治組織役員を務める三沢宏造さん(75)は複雑な胸中を明かす。
 東雲住宅での生活は6年を越えた。昨年7月に古里の避難指示は解除されたが、自分も妻(66)も病気を抱え、都内で治療を続けている。故郷に戻る気持ちにはなれていない。
 江東区では「復興五輪」を掲げた2020年東京五輪・パラリンピックの競技会場の建設が進む。三沢さんは「五輪が本当に復興につながるのか疑問だ。むしろ被災地の現状を多くの人に伝え、原発事故の風化を防ぐ取り組みが必要ではないか」と注文を付ける。
住宅支援が終了
 原発事故後、福島市から自主避難した岡田めぐみさん(35)は武蔵野市の都営住宅で夫と子ども4人と暮らす。自主避難者への住宅の無償提供は3月末で終了し、家計負担は増した。
 同市で避難者の交流サロンを運営する「むさしのスマイル」の代表として、同じ境遇の仲間らと東京生活の悩みを語り合っている。「民間賃貸住宅の家賃も都営住宅の入居倍率も高い。住宅政策に力を入れてほしい」と訴える。
 宮城県山元町の自宅が津波で流され、11年4月から中野区の被災者向けみなし仮設住宅で暮らしていた金沢牧生さん(75)、英子さん(70)夫妻。この春、新宿区内の都営住宅に引っ越し、山元町に残していた住民票も移した。
 非常食やカセットコンロを買い置き、災害に備える。英子さんは「震災後、政治を真剣に考えるようになった。都が防災にどう取り組んでいるか、なかなか見えない。弱い立場の人に寄り添ってほしい」と災害対策の充実を求めた。


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2017年06月30日金曜日


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