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<杜の都のチャレン人>物語のワクワク 発信

本を掲げながら、内容を紹介する斎藤さん。「読書には人を豊かにする何かがあることを伝えられればいい」

◎小中校生に向けてブックトークを続ける 斎藤千里さん(57)

 「清少納言のことを紫式部は『得意顔で偉そうにしていた人(中略)。つまらないことでも感動しているように振る舞う』と、日記の中で酷評しています。今ならネットで炎上必至ですよね」
 静かだった教室に笑いが起こる。ブックトーク未経験の大学生に向けた実演。聴衆約60人はほとんどが司書教諭志望だ。本を手に内容や特長を平易な言葉で伝える。「千年以上前の作品でも表現される心情は変わらない。古典は最強のベストセラーです」と訴えた。
 普段は小中学校の依頼を受け、ボランティアとして各校へ出向く。「いつも友だち」「知らない世界を見てみよう」などのテーマに沿った3、4冊を選び、批評や解説を織り交ぜ15分で紹介する。出張は年約40カ所に上る。
 初対面の児童・生徒を前に、どう自分の土俵に引き込むか腐心する。うまくいくと、子どもたちは紹介本を手に取ろうと、先を争うように駆け寄ってくる。「伝わった」と感じる瞬間だ。
 ブックトークとの出合いは2009年、市図書館が開いた養成講座。まるで一つの劇のように本を語り、聴く者の読書意欲を瞬時にかき立てた女性講師の話術に引き付けられた。
 翌年、講座参加者とボランティアグループ「ランプ」を結成、12〜17年4月まで代表も務めた。グループ名には「個々の本に光を当て、子どもたちの読書の未来を照らすともしびに」との思いを込めた。ランプはこれまでの功績が認められ、盛岡市で6月15日開催された北日本図書館大会岩手大会で、図書館事業功労者として表彰された。
 最近は新規の要請も増えている。だからこそトークの内容をまとめた「シナリオ」には、メンバー全員で推敲(すいこう)を重ねる。押し付けにならず、興味の幅が広がるよう手助けすることを心掛ける。
 「物語の世界に入り込み、ワクワクした幼い頃の経験を、今の子たちにも味わってほしい」(や)

<さいとう・ちさと>60年仙台市生まれ。宮城二女高、東北学院大法学部卒。宮城野区在住。市図書館ブックトークボランティア「ランプ」のメンバーは現在23人。加入には市図書館主催の講座受講が条件。


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2017年07月01日土曜日


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