秋田のニュース

<人口激減の足音>存続へ 若手がけん引

存続の危機を乗り越えた「ぎおんばやし」の座敷舞=5月5日、横手市増田町

 秋田県の人口は4月1日現在で99万9636と、戦後初めて100万を割り込んだ。年間約1万3000人の減少ペースは衰えず、高齢化も進む。地域によっては医療の維持や伝統芸能の担い手確保、買い物弱者への支援などの課題が深刻化している。一方で、地域コミュニティーの維持へ向けて、住民や行政が動きだしたところもある。日々の生活に密接な、人口減を巡る動向を探った。

◎先行県・秋田のいま/暮らし編(2)伝統芸能

 横手市増田地区は江戸時代末期から昭和初期にかけて商業で栄えた。土蔵を母屋と共に囲いで覆った「内蔵」の残る街並みは往時の姿を今に伝える。街並みだけでなく多くの地域文化が今も息づく中、少子化で存続の危機に立たされる伝統芸能もある。増田地区にある八木集落に伝わる「八木番楽(ばんがく)」もその一つだ。

<子どもの参加減>
 約400年の歴史があり、毎年9月8日の夜に八木神社に奉納される。全12幕あるが、近年は数幕程度しか演じられていない。
 最大の理由は子どもの踊り手の減少。活動が盛んだった1989年ごろの20人が現在はわずか3人。活動を維持していくのにぎりぎりの人数だ。
 中学生は学校の部活動優先のため、参加するのは小学生ばかり。奉納直前になると約2時間の練習が20日間ほぼ連日続くことから、参加者はさらに限られてしまう。
 追い打ちをかけるように来春以降、八木集落から小学校に入学する未就学児はいなくなる。八木番楽保存会の阿部昭太郎会長(89)は「住民だけで継承していくのはもう限界だ」と危機感を募らせる。
 大人の担い手も7人と十分ではない。経験者に呼び掛けて何とか伝統を維持しているのが現状だ。阿部会長は「学校の授業で番楽に触れる機会を設けるなど、行政も地域の一体感の醸成に向けた取り組みにもっと力を入れてほしい」と切望する。

<住民の手で残す>
 八木番楽のように存続が危ぶまれる芸能がある一方で、途絶えかけた伝統を復活させた所もある。同じ増田地区にあり、八木集落から皆瀬川を隔てて1キロ余り離れた戸波集落だ。
 5月5日、赤い振り袖と白足袋姿の若い女性の踊り手3人が優雅に舞った。300年前から集落の戸波神社などで披露されている「ぎおんばやし」の座敷舞。昨年から和太鼓などの演奏を地区の男性が担い、伝統の復活を住民に強く印象づけた。
 活動は、地域住民による戸波郷土芸能保存会が続けてきた。和太鼓や笛を演奏する「はやし方」が一時不在になったが、意欲ある若手が活動をけん引し危機を乗り越えた。
 中心となったのが農業織田夏雄さん(29)。会社勤めをしていた仙台市から2010年に戻り、実家を継いだ。帰郷後は演奏方法を近隣から学ぶなどして活動を盛り上げた。
 やがて地域の関心が高まると、はやし方の担い手は6人にまで増えた。1人は中学生。伝統の継承に光明が差してきた。
 「地域らしさとは何かを考える中で、住民の手で伝統を残すことの重要性に気付いた。その一心で活動している」。織田さんは力強く語った。(横手支局・目黒光彦)


関連ページ: 秋田 社会

2017年06月28日水曜日


先頭に戻る