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<人口激減の足音>店経営 地域で支える

店主らが企画した出前商店街の抽選会。孤立しがちな住民の交流の場になっている=秋田県にかほ市平沢琴浦

 秋田県の人口は4月1日現在で99万9636と、戦後初めて100万を割り込んだ。年間約1万3000人の減少ペースは衰えず、高齢化も進む。地域によっては医療の維持や伝統芸能の担い手確保、買い物弱者への支援などの課題が深刻化している。一方で、地域コミュニティーの維持へ向けて、住民や行政が動きだしたところもある。日々の生活に密接な、人口減を巡る動向を探った。

◎先行県・秋田のいま/暮らし編(3)買い物

 地域の小規模商店が減り続ける中、高齢者ら買い物弱者をどう支えるか。秋田県内で、商店主や住民らによる取り組みが続く。

<住民つなぐ役割>
 5月の平日、にかほ市平沢琴浦地区の自治会館に、笑い声や話し声が響いた。同市商工会などによる「出前商店街」。訪れた近隣住民約70人の多くは高齢者で、並べられた出来たての総菜や衣料品などを品定めしながら、商店街の店主らと会話を交わして買い物を楽しんだ。
 出前商店街は2010年に始まった。4〜12月の月2回、高齢者の多い市内11カ所を回る。約15の商店が参加し、地域のニーズに合わせて商品を入れ替える。どこも盛況だ。1人暮らしの阿部桂子さん(78)は「欲しい物をそろえてくれる。友人とお茶会もできるし、外出が楽しい」と頬を緩めた。
 買い物だけでなく、抽選会や昼食会を開いて孤立しがちな高齢者との交流を図る。出前商店街振興会の斎藤伸二会長(48)は「地域の憩いの場だった商店街は、住民同士をつなぐ役割を担える」と語る。
 経済産業省の調査によると、県内の卸売・小売事業所数は02年の1万8047から、14年は1万3536に減少。大型店が相次いで進出する余波を受け、苦境が続く。

<扱う商品も工夫>
 店舗を維持することが厳しい過疎地域では、住民が店舗運営に乗り出した。
 昨年3月、由利本荘市など県内3カ所に開店した「お互いさまスーパー」。国の交付金を活用し、県が店舗開設費用約800万円を補助した。地元農協などのアドバイスを受け、住民が商品の入れ替えや接客などの経営全般を担う。
 羽後町仙道地域は、地域唯一の食料品店を改修した。住民2人が交代で勤務し、週6日営業する。地元の山菜や加工食品、介護用品など地域事情に合わせた商品を取りそろえた。毎月の売り上げは約200万円と黒字を維持する。
 県内の65歳以上の高齢者の割合は34.7%と全国最高だ。378世帯、約1100人が暮らす仙道地域の高齢化率は40%を超える。最寄りのスーパーまで車で約20分。運転免許の返納などを機に、外出を控える高齢者が増えている。
 当初、一部住民からは「最寄りのスーパーを利用すればいい」などと反対意見があった。しかし、将来的なニーズを見据え、住民が議論を重ねた末に開店を決めた。
 店を経営する住民団体「仙道てんぽ」代表の土田房美さん(70)は「住民が結束し、工夫を凝らすことで経営を軌道に乗せることができた」と強調。「地域事情を反映した支援態勢を担えるのは、そこで暮らす住民しかいない」と訴える。(秋田総局・鈴木俊平)


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2017年06月29日木曜日


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