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<人口激減の足音>地縁再び 交流を促進

青空サロンに集う住民たち。地域住民の貴重な交流の場になっている=秋田市泉南1丁目

 秋田県の人口は4月1日現在で99万9636と、戦後初めて100万を割り込んだ。年間約1万3000人の減少ペースは衰えず、高齢化も進む。地域によっては医療の維持や伝統芸能の担い手確保、買い物弱者への支援などの課題が深刻化している。一方で、地域コミュニティーの維持へ向けて、住民や行政が動きだしたところもある。日々の生活に密接な、人口減を巡る動向を探った。

◎先行県・秋田のいま/暮らし編(4)見守り

 人口約31万と秋田県の人口の約3割を占める秋田市は、住民同士の交流が希薄化する中心部と、もともと濃厚な農村部が混在する。人口減と高齢化に伴い、中心部、農村部の双方で、新たな「地縁」を結び直そうとする取り組みが進む。

<サロン心待ちに>
 5月下旬、同市中心部のニュータウン、泉南1丁目の遊歩道に集まった十数人の高齢者が、路上に置かれた簡易な机を囲んでいた。地区の泉大橋南町内会が昨年5月に始めた「青空サロン」だ。
 「昔はそろばん教室をやっていた」「毎日1万歩を歩くようにしている」。住民同士が菓子をつまみながら話に花を咲かせた。
 サロンは冬季を除く5〜10月に月1回開かれる。毎回参加する無職仲村ツエ子さん(78)は「同居する息子夫婦は共働きで、日中はいつも一人。誰とも会話しない日も多い」と打ち明ける。「話を聞いてもらえるだけで気分が明るくなる」と開催を心待ちにする。
 泉地区は造成から40年以上がたち、かつては盛んだった子どもを通じた交流が減った。一方、高齢者の1人暮らし世帯が増え、見守り機能をどう構築するかが課題となっている。
 若松ナミ町内会長(84)は「居場所を設けて交流を促すことで、地域にどんな人がいるかが把握できる。結果的に見守り強化につながる」と狙いを話した。
 泉など市内4地区は、市の「地域の支え合い体制づくり」のモデル地区に指定されており、東大高齢社会総合研究機構と共同で地域での集いの場づくりを模索している。過疎地域の指定を受ける市東部の河辺地区もその一つだ。

<住民情報を共有>
 住民同士の交流が盛んな地区では、2015年から町内会ごとに「地域支え合いマップ」を作成している。住宅地図を貼り合わせた横2メートルほどの大きさで、「独居世帯」「災害時支援が必要」などの情報が色分けして表示されている。
 「近所付き合いは活発でも高齢者が多く、60代が80代を見守る集落もある」と河辺地域包括支援センター社協の生活支援コーディネーター高橋久美子さん(62)。「一部の人が把握していた情報を視覚化して共有することで、誰もが支え合えるきっかけになる」と強調する。
 秋田県内の自治会を対象に県が13、14年度に行った調査では、回答した3435の自治会の約8割が「見守り支援に危機感を抱いている」と答えた。
 各自治会が先行きに不安を覚える中、見守り支援という地域の基盤をどう維持していけばいいのか。
 東大高齢社会総合研究機構の後藤純特任講師(高齢社会学)は「地域で居場所や社会参加の仕組みを整理し、住民一人一人がつながりを再構築することが重要だ」と指摘する。(秋田総局・藤井かをり)


関連ページ: 秋田 社会

2017年06月30日金曜日


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