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<人口激減の足音>路線維持へ広域連携

登校のため小坂町営バスに乗り込む児童、生徒たち。地域の足として不可欠だが、経営は厳しい=秋田県小坂町

 秋田県の人口は4月1日現在で99万9636と、戦後初めて100万を割り込んだ。年間約1万3000人の減少ペースは衰えず、高齢化も進む。地域によっては医療の維持や伝統芸能の担い手確保、買い物弱者への支援などの課題が深刻化している。一方で、地域コミュニティーの維持へ向けて、住民や行政が動きだしたところもある。日々の生活に密接な、人口減を巡る動向を探った。

◎先行県・秋田のいま/暮らし編(5完)交通

 平日の午前7時すぎ、秋田県小坂町小坂の町営バス停留所から小中学生約10人がマイクロバスに乗り込むと、満席の車内は元気な声でにぎやかになった。

<誘い合って外出>
 バスは、2002年4月に撤退した秋北バス(大館市)に代わって町が運行する。小学生は無料。小学校の統廃合により通学距離が伸びたために通学に不可欠だ。「高齢者の足」としても、路線延長を望む声が地域から上がる。
 バス停から約1.5キロ離れた砂子沢集落は、住民の半数近くを65歳以上が占める。自治会は需要調査として、昨年7月から週1回、集落と町中心部にある商業施設の約5キロを結ぶ予約制乗り合いタクシーを試験運行している。
 今年3月までの利用者は関係者の予想を上回る182人。自治会の事務担当木村久さん(59)は「近所の人を誘って中心部の温泉に出掛ける人もいた。高齢者の外出を促す効果があった」と手応えを感じる。町は自治会の要望を受け、10月からバス路線を変更して一部の便の砂子沢集落への乗り入れを決めた。
 県内の路線バスや乗り合いタクシーの利用者数は、15年度で約1270万人。ピークだった1969年の1億790万人の1割近くにすぎない。急激な落ち込みに合わせ、地域のバス路線網は縮小し続けている。
 小坂町が運営するバスも、1キロごとの有償の平均乗客数を示す平均乗車密度は昨年度で0.55人。混むのは朝夕の通学時間帯のみだ。町の担当者は「このままでは町の財政を圧迫するが、行政サービスとして廃止できない。利便性を高めて乗車を促す取り組みを進めていく」と苦悩する。

<唯一の足ゆえに>
 地域単独で公共交通を支えるのが限界に近づく中、複数の自治体が連携して維持しようとする取り組みが進められている。病院やJRの駅、商業施設などの生活圏が重なる五城目、八郎潟両町と大潟村は今年4月、町村担当者や住民、バス、タクシー会社による協議会を発足させた。
 大潟村は村営バス、五城目、八郎潟両町は乗り合いタクシーをそれぞれ独自に運行している。八郎潟町のJR八郎潟駅−湖東総合病院間は八郎潟町の乗り合いタクシーと大潟村のバスが走るが、タクシーは町民以外は乗車できず、バスは八郎潟町内のみの利用ができないなどの制約があり、利便性は十分ではなかった。
 今後は同じ時間帯を走るバス路線の統合や、民間事業者を含めたバスと乗り合いタクシーの連携拡大などを検討していく。
 大潟村の加藤光行総務企画課長は「自治体が運営する交通機関は、高齢者や子どもら交通弱者にとって唯一の足だ。生活圏の重なる自治体が連携して、路線を維持するしかない」と話した。(秋田総局・藤沢和久)


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2017年07月01日土曜日


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